北京の故宮は、箱だけであり中身は蒋介石がほとんど台湾に持っていた、だから台湾の故宮博物館のほうがはるかに見る価値がある、との理由でカットになった。
万里の長城へは、県から房山県、市内を抜けて昌平県に入って行く道程。土で作った家が並び、道路脇の狭い三角形の土地にも稲が植えられていた。頭の赤いコウリャンやとうもろこしも多い。家の一角のコの字型に区切られた中に豚が何頭も飼われ、ニワトリも道端を走り回っている。
山に入り、途中、○○宮と書かれた石の牌楼の立った入り口を見かける。こうした地元のお宮を自由に訪ねてみたいものだと当時思った。
帰り道では、草を山のように積んだ荷馬車をすれ違う。おじいさんが山羊に綱をつけて犬のように散歩させており、草を食べ始めるとおじいさんも立ち止まる。他にも杭につながれて草を食んでいる山羊をよく見かけた。子供が大きな熊手で家の前に広げられた何かをかき集めていたり、女の子が平たい籠を抱えて塀の間の入り組んだ路地に消えていったりした。道路ばたには椅子を出しておじいさん、お婆さんが座っていた。