植物

 かつてハワイの主食はタロイモだった。タロイモは里芋と同じサトイモ科。
 サトイモ科には染色体数が二倍体で熱帯性のもの(ミズイモ、タロイモ、ミカシキ、ヤツガシラ、沖縄のタイモなど。水田で栽培されることが多い。インド、東南アジアに多い)と、三倍体で陸生の低温に強い温帯系のもの(いわゆる里芋、日本、中国に多い)とがある。

 日本に稲作が伝わる前は、雑穀と根菜類を主食とした古い文化があったという研究進んでいる。餅なし正月(イモ正月)もしくはサトイモ優先の正月のある地域は、こうした古い文化を残しているという。

 さらに、里芋よりもヤマノイモ科の芋のほうが文化として古い可能性があり、正月やハレの日に山芋やナガイモ、トコロを食べる習慣のある地域は、こうした古い縄文時代に遡る文化を残しているとする。
 ヤマノイモ科はヤムイモと同じ系統。里芋同様、二倍体で熱帯系のもの(ヤムイモ、ダイジョ、カシュウイモ、ヘビイモなど。インド、東南アジアに多い)と、三倍体で温帯系のもの(山芋、ナガイモ、ヤマノイモ、ツクネイモ、トコロなど。日本、中国に多い)とがある。

 もちろん、熱帯系の二倍体のサトイモやヤマノイモも、日本にある(タイモやカシュウイモなど)。

 最近の民俗学は、農業や植物学の観点からも研究が進んでおり、今後もさらに新しいことがわかってくるだろう。
(以上の参考文献:『稲作以前』『南からの日本文化』佐々木高明、いずれもNHKブックス、『イモと日本人』坪井洋文、未来社、『栃と餅』野本寛一、岩波書店)。

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 ハワイ島の空港からホテルへ向かう途中、ドトールコーヒー農園に寄った。
 おみやげものツアーかもしれないが、これがなかなか良かった。海を臨む高台にあり眺めもよく、きれいに整備されており、現地のさまざまな植物を見ることができる。コーヒー農園はもちろん、レモン、スターアップル、モンキーバナナなども間近かに見られる。ハワイ土産で有名なマカデミアナッツの大木もあり、季節が合えば実際に実がなっている状態を見ることができる。

 ところで、ハワイ島のガイドの話では、ハワイの花のように思われているハイビスカスは、実はアジア原産、日立のコマーシャルで有名なアメリカねむの木(モンキーポットツリー)も南米原産だという。

 右はバナナの木、下はコーヒー農園。赤い実を食べると甘い。

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 はタロ芋の水田。タロ芋は水田で栽培される(ミズイモや沖縄のタイモも同様)。里芋のように小芋を取るのではなく、親芋を大きくする。
 タロ芋をペースト状にすりつぶした紫色のどろどろした食べ物がポイで、ハワイ料理の店やポリネシアカルチャーセンターなどで食べられる。アラモアナショッピングセンターのフードコートにもあった。カルーアピッグなどとセットになって売っている。少々酸っぱめで、あまり味がない感じ。

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 最近流行っているノニの実。日本に入ってきているのはタヒチ島のものが多いという。

(タロ芋水田とノニはポリネシアカルチャーセンターで撮影)

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 左下はティリーフの生垣で、溶岩ウォークツアーを案内してくれたガイドさんの話では、これを植えているところはハワイ先住民系の家だという。ティリーフは魔物から守る力があると信じられており、キリスト教の教会の周囲に植えていることもあるらしい。中国人は極楽鳥花、日系人は(盆栽だったと思うが記憶があいまい)を植えるので、庭の植物で家の住人がわかるという。
 右はレッドジンジャー、生姜科の花でほかに青、黄色、ピンクなどの色もある。においがないことから、墓前に供える花として使用されるそうだ。

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