原住民向け農業プロジェクト


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山蘇蕨の栽培

 嘉義の友人宅で、台北の順益原住民博物館に行った話をすると、なんと友人のご主人も順益原住民博物館のプロジェクトに関わっている、という。嘉義大学に原住民に関わるプロジェクトを行っているグループがあるというのだ。その関連で個人的に畑を借り、原住民が食用している野菜を実験的に栽培しているという。ご主人は農学専攻の学者。

 畑は嘉義郊外の丘陵地帯にある。購入した0.75haのほか、下にO.2ha借りている。作物は山蘇蕨(bird nest ferm)、もともと原住民が食べていたが、最近健康に良いと普通にも食べられるようになってきた。ゴマ油で炒めて食べる。友人の畑では2〜3日に一度、二軒の日本料理屋に出荷している。
 このあたりは檳榔(bitter nut)の栽培がさかんで、かつては値が良かったが今は悪い。植えすぎて土石流が問題になっている。アボガドも栽培されている。

写真:山蘇蕨の栽培



山蘇蕨の苗

 畑へ行くと、山蘇蕨は日陰のじめじめしたところを好むようで、日除けに黒い寒冷紗をかぶせていた。二ヶ月前に台風にやられたので、今では台風が来たら寒冷紗を一カ所にまとめられるよう工夫している。山の水を3つのタンクに貯めて、乾期には電動で散水する。
 下の畑のハウスでは、苗を小鉢に育てていた。山蘇蕨は葉の裏の胞子で増え、小鉢に植えるまで2年、土に植える大きさになるまで5年かかる。最近回りでも山蘇蕨を育てている人がおり、温室栽培が普通で、大きな葉を出荷している。しかし葉が大きすぎると品質が良くない。自分のところでは10cmくらいで出している。1株で10年〜20年くらい収穫できるようだ。現在の家族と数人の手伝いによる労働では、畑の大きさから見て2〜3日おきの収穫の限度、労働力でも今が限界。ゆくゆくは2haに広げて毎日収穫できるようにしたいという。

 山蘇蕨はフィリピン、インドネシア、沖縄にもある。台湾には3種あり、うち2つは苦くて食べられない(山蘇花、台湾山蘇花は苦く、南洋巣蕨が苦くない)。知り合いの日本人で年輩の人が来たとき、山蘇蕨を一目見て、日本には観賞用としてこの植物があると言っていたという。私にはわからなかった。

写真:山蘇蕨の苗



蘭の栽培

 山蘇蕨は現在、野菜の中で一番単価が高い。1斤(600g)200元(市価では250元)、通常の野菜は1斤10元(キャベツなど)。また栽培にも手がかからない。欠点は1株から毎日収穫できないこと。現在の収穫量は一週間あたり1.5haで300斤、毎日25斤とれれば1日5000元の収入になる。こうした計画的な栽培が成功したら、プロジェクトを行っている原住民の村にも導入できるし、彼らの生活向上にも役立つ。うまくゆくようなら、苗の供給を行ってゆきたいそうだ。山蘇蕨は育つのに時間がかかるので、急にまねできないが、苗の供給は他の人も皆作り出した場合のことを考えてでもある。また、檳榔の次にこの山蘇蕨を作るのでもよいのではないかと思う、現在”供不応求”の状態だ、と言っていた。

 栽培方法は有機栽培で行っており、農薬は使用していない、害虫にはマイマイのような巻き貝がいて、見つけては拾って踏みつぶしていた。肥料も有機で、米殻でマルチングをしている。

 隣の農家では蘭を栽培して韓国に輸出していた。温室に鉢が並んでいたが、このところのアジア経済の不況で売れなくなっているそうだ。
 台湾では普通の人が農地を買えるのかきくと、やはり農民と認められないと買えないとのことだった。ただ友人が知り合いのつてで今は農民の資格を持っており、それで購入することができた、企業は買えないようになっているという。日本とほぼ同じシステムのようだ。

写真:蘭の栽培




このページは2000年秋の台湾旅行に関するページです

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