KBS 国内放送
オリニシガン(子供時間)


2003.5.5作成

 1970年代はラジオが媒体として元気な時代でした。日本の深夜ラジオにも有名な番組が多かったですし、海外放送を聴取するBCLも盛んでした。1972年の夕方、ラジオサーフィンしていたところ、たまたま韓国の国内放送、オリニシガン(子供時間)という番組を見つけました。当時、NHKの「歌は友だち」などの子供向け歌番組が好きだったので、愛聴するようになりました。

 番組はたいてい夕方5時15分か30分あたりからはじまり、30分か45分程度の長さでした(年によって異なる)。平日は先生について1曲を練習しマスターしてゆく部分と、子供向け連続ラジオ劇などで構成されており、日曜は大勢子供の集まる会場から中継でのど自慢のようなことをやっていました。マイクの前に出ると、とちる子も結構いて、涙声になったりしていましたが、会場のお姉さんアナウンサーがやさしい感じで良く、ファンでした。
 国内向けのため、海外向け放送ほど出力が強くなく、夏は聴取できませんでした。毎年、秋分を過ぎる頃から聞こえはじめ、冬は電波の状態も良好で、春分頃になると聞き取れなくなりました。聞いていたのは1972年から76年頃までですが、この間、ほぼ同じ内容の番組として続いていました。

 韓国の子供の歌も、日本の唱歌や童謡のような曲から、現代風の曲までさまざまで、感覚が日本によく似た郷愁を覚える曲も多くあります。現在、KBSに録音内容を掲載可能か、リストを送って問い合せ中ですが、とりあえず、先にテキストで気に入った曲をいくつか紹介します。

(ラジオ韓国日本語放送からは、”だいぶ昔の曲なので多分問題ない”との回答をいただきました。念のため、KBSの著作権関連を扱う部署に引き続き問い合わせています−2003.5.19)

(さらにKBSより、”できるだけ協力したい、KBSが著作権を持っているもの以外については、韓国音楽著作権協会(KOMCA)に話してください、いちおう、KBSからも話してあります”との回答をいただき、人も紹介していただきました(6月半ば頃)。仕事が忙しくまだ連絡をとっていませんが、KBSの担当者は上手な英語を操る非常に優秀な若い世代(しかも女性)で、こういう人たちがこれからの韓国を支えてゆくのだなあ、と感心することしきり、でした。−2003.7.7)

追記:(2004年1月)
 実はまだ、そのままになっています。日本側のJASRACにも話を通す必要があり、サイトを見たところ、以前はもっと申込み形式も簡単で、相談の余地もありそうな雰囲気だったのが、現在では始めから課金専用窓口しかないようです。
 できれば商用サイトではないからと、相談して無料にしたかったのですが、あのサイトを見て何となく時間もかかりそうだし、と面倒臭くなりました(まだ申し込みもしていません)。韓国は著作権もかなり整備されつつあるため、リーガルにしたいので、このまま文章による紹介にとどめておこうか、と思っています。韓国の情報は最近飛躍的に入りやすくなったので、童謡、子供の歌も簡単にCDで手に入ると思います。



チュルゴウンノレ楽しい歌あなたも私も楽しく歌おう、 あの村この村響かせて、というよくある内容の歌だが、曲が明るくてかわいい。
ヌンキル冬の道リズム感ある明るい曲
ポムニミオンダネ春が来たよつばめもすずめも希望を歌う、川越え山越え春が来た、という内容の童謡。日本の「春が来た」に似た名曲。
オリニノレ子供の歌すくすく育つ私たち、といったよくある内容だが、アップテンポで元気な曲。
ピョルチョロンクムチョロン星の提灯金の提灯山あいの家に夜のとばりがおりた様子を歌う、童謡調の曲。
パドゥギパングル子犬の鈴学校から帰ると子犬が出迎える様子を歌ったかわいい曲。
ティンドンデンドンキンコンカンコンクリスマスの曲だが、リズムもよく速い曲で、特にティンドンデンドン以降の部分がきれい。
クドゥバルチャグク靴の足あと白い雪の上に、靴と子犬の足跡が続く様子を歌う。童謡調だが、日本の童謡にはない旋律。
パンダル半月有名な童謡で、月には桂の木がありうざぎが住むという韓国の童話を歌った曲。
ポム日本の童謡にもありそうな、郷愁を感じる曲。
フンブワノルブ興夫とノルブ有名な民話を歌った曲で、日本にはちょっとない不思議な旋律。ちなみに内容は、昔兄弟がおり、性格のいい興夫は足をけがしたつばめを助けたため幸せをもたらすパガジ(ひょうたん)の種をもらったが、いじわるなノルブはつばめを助けなかったため、空の種をもらった、という舌切りすずめ的な話。
タラタラパルグンタラお月様お月様明るいお月様日本の童謡にはない、不思議な旋律の曲。これも有名な童謡で、輪唱で歌われることも多い。また同じ曲で、鳥よ鳥よ青い鳥よ、という内容の歌詞で歌われることもある。パギョンスン(朴容順)さんによる歌詞の解説
コヒャネポム故郷の春名曲中の名曲、有名な童謡で、日本の「ふるさと」に当たる。名アナウンサー、パギョンスン(朴容順)さんの名調子で聞く歌詞によると「私のふるさとは花咲く村、つつじの花あんずの花桃の花、色とりどりの花で飾られた、お宮のような村、幼き遊んだかの頃、懐かしいです」
 希望の国正確には童謡ではなく、歌曲だが、ときどき子供番組でも歌われていた。パギョンスン(朴容順)さんによる歌詞も旋律もよく、名曲と思う。
   




番組開始の音楽のみ、資料として公開

オリニシガンの開始の音楽:オリニワルツ(1972)
("全国のオリニの皆さん、アンニョンハセヨ"と言っている。1974年、現代風にアレンジが変わったが、1976年か77年頃、また元のアレンジに戻った。)

日曜の会場のオリニシガン開始の音楽:オリニヘンジングク(子供行進曲 1974)
(会場のオリニ全員で歌う。時によって、クムガンサン(金剛山)や朴正煕大統領作のセマウルノレ(新しい村の歌)も歌われていた。)

資料:子供の歌     民謡