自給してみよう 2

紡ぎ

 綿の種を取って繊維のみにしたら、紡ぐことができる。
 紡ぐ前に綿打ちが必要だが、カーダーで可能(綿用と羊毛用は異なる。ペット用の毛すきで代用する人もいる)。

 紡ぎは、羊毛の場合はコマが安くて簡単。綿は繊維が短いため、よりを強くかける必要があり、かなり小型のコマになる。綿の場合は、インドのチャルカもよりが強くかかり、使い方も簡単でおすすめ。
 糸紡ぎ機は結構高い。日本古来のものは形は美しいが、両手を使う必要があるため、チャルカのほうが使いやすい、という人も多い。西洋の糸紡ぎ機は、もともと麻用だったと聞いた。

手紡ぎに使うコマ(羊毛用)



織り機の自作

 織り機にはリジット機と高機がある。
 市販のリジット機は数万円から、高機だと十数万から二十万くらいかかる。

 たまたまネットで、古代の機織りを体験しよう、という遺跡(石川県埋蔵文化センター)のサイトを見つけた。
 リジット機で織った経験はあり、織りの大体の仕組みはわかっていた。サイトを見ながら、綜絖の仕組みを作り、縦糸を通して交互に上下させつつ横糸を通してゆけば、とりあえず布を織る仕組みになるな、と思いついた。
 別に売り物の布を作るわけでもなし、簡単な織り機を自作してみようか、と考えた。

 まず、経験のあるリジット機もどきを目指すことにした。リジット機では板で綜絖と筬を兼ねている。この場合、50羽くらいまでがせいぜいで、羊毛は織れても綿は厳しいという。綿糸は細いので、もう少し目が細かいほうがよいらしい。
 最終的には綿を育て、自給した綿を使って綿糸を織ることが目標なので、やはり板形式でなく筬が必要になってくる。そこで、形態は膝に載せて織るリジット機のまま、高機のように綜絖と筬を備えた形式に急遽、変更。
 綜絖部分を糸にするか針金で作るか試行錯誤しているうち、面倒くさくなっていったん放置状態に。

 その後しばらくして、大月書店から出ている中学生くらいの子供向けシリーズ本で、織り機の自作本を見つけた。この本にリジット機と高機で必要な材とその詳細な展開図、作成方法が書かれており、大いに役立った。
 特に、綜絖糸のような同じものを多数作成する場合は、治具を使って同じ大きさにそろえて作成する、ということを知り、助かった。工作をする人にとっては自明のことなのだろうが、こうしたちょっとしたを知っているのと知らないのとでは大違いである。
 また綜絖を作れば上下させる仕組みが必要で、足踏み式か、かつてのいざり機のようにするかになる。足踏み式を考えていたが、ただぶらさげただけでは安定せずやりにくかった。それも放置の原因になっていたが、この本の高機の展開図の足踏み式を参考にすることができた。

 トウジョ(緯打具)は、リジット機では綜絖板を、高機では筬を使う。自作機では筬を使うが、動きはリジット機の綜絖板のようにすることにした(つまり筬枠なしで、手で筬を持って打ち込む)。

 こうして下の写真に示す織り機が完成した。
 写真では綜絖の設置が下過ぎたため、縦糸が下にしなっている。このままでは縦糸の張りが弱いので、その後吊り糸を短くして調整した。またこの高さでは膝の上に載せても斜めになるため、実際に織るときには椅子を調整して水平にした(斜めでも織れないことはないが、綜絖と筬がぶつかりやすい)。
 綜絖と筬の間がかなり狭いが、織れる場所をできるだけ長くしようと欲張ったため。綜絖と筬がぶつかりやすく、もう少し間を広げたほうがよかったかと思うが、とりあえず支障をきたすほどではない。ただこの狭さでは4枚綜絖にはできない。広げればこのまま4枚綜絖も可能。

 なお、この試作機は組み立て式。完全な高機にしなかった主な理由は、完成した高機を置いておく場所がないことによる。この試作機はばらせば棒の塊になるため、簡単に収納できる。

注記:右上の写真で、縦糸に結び目があるのは、以前作成した短いマフラーを長くしようと継ぎ足して設置したところの写真のため。





作品

 自作した織り機を使って、ウールで織ってみた。
 縦糸は強度が必要なため市販の糸を使用し、横糸は化学染めしたウールを手紡ぎした糸で織った。4枚織ってミシンでつなげ、チョッキにした。
 左はチョッキの前、右は後ろ。






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