ミャンマー旅行記(2000年)

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2月17日(続き)

 6:10 イエジン着。ヤンゴンから260マイル。

もうかなり暗くなりつつあり、いったんイエジン大学のAgriculture Research Instituteの宿泊施設に荷物をおろした後、Mr.Melvin氏のいるYMCAに向かう。(写真はイエジン大学)

カエルが鳴いていた。

 7:30 YMCAでMr.Melvin氏らの歓迎を受ける。彼もアジア学院の卒業生でカレン族、この村のバプテスト派の教会(写真下)を自力で建てた。現在の牧師や地元の人も来ており、プロジェクトのビデオを見る。

途中2、3度停電し、自家発電に切り替えていた。

プロジェクトの内容:

保育園を経営。朝7、8時から夕方3〜7時まであずかり、スタッフは4人、子どもは45人(うち毎日来る子は25人)。30人がクリスチャン家庭の子で残りは仏教徒。

 クリニックも開いており、近隣の51ヶ村が対象、一週間自炊して滞在できる施設がある。薬は5日に一度たつ市で買ってくる。

ユーコさんが新潟でも今でも1と6の日、5日ごとに市がたつ、というと「日本もそうなの?」と驚いていた。

51ヶ村のうち、カレン族の村が7ヶ村、残りは仏教徒のビルマ族、さらにこのあたりにも中国人が住んでいる。

 養鶏を行っており、現在400羽、気温が下がると炭火で暖める。

飼料は稲藁と、買ってくるコーン。二人で管理しており、病気は出ない。

 田圃を8エーカー作っている(このあたりは、田圃の中に高い木がまばらに生えている独特の景観)。

110フィートの深さの井戸を手堀したが、水は足りない。30メートルの地下水は冷たい。

田起こしは30〜40センチ深度で手でやると言っていたが、
「本当にそんなに深く手で掘れるかね?」
と元指導員。

 移動クリニックも行っている。チェコスロバキア製のトラクターで村々を移動、毎日回っている。

医者は一ヶ月に1、2度来る。

 玉葱畑もあり、12月に作付け、1インチ幅に密植して4〜5月に収穫。

肥料は鶏糞と米糠。水やりはしょっちゅう行う。

 ビデオのあと、奥さんと近所のお婆さんの手作りのカレン料理で夕食。ここの料理が一番おいしかった、という人が多い。やはり煮物とおいしい米の料理。

 このあと、Melvin氏や地元の人らとあれこれ話す。現在、1エーカー1作あたり12バスケット(竹篭)の米を政府に売る必要がある。市場価格は1篭4500チャット(おそらく一番いい値の場合)だが政府買い上げ価格は250チャット(1升が通常の市場価格で120チャットくらい、良い品種だと220チャット)。
政府に供出した残りは職員に分けたあと、余りを市場で売る。 かつては夏作は政府に売らなくても良かったが、今ではほとんどのところで売る必要がある。土地や水道にも税金がかかる。

 収穫は1エーカーあたり大体50〜80竹篭、年によってかなり出来は違う。1篭はおよそ45ポンド=約22.4キロで、1エーカーあたり1120〜1800キロ。ただし長粒種は玄米にすると半分になる。

日本は玄米重で1反500キロくらい(1エーカー約2000キロ、ちなみに日本の短粒種の玄米の歩留まりは60%からよいときは70%。茨城県の農業専門学校鯉淵学園の資料でも茨城県は大体1反収量平均500キロ玄米重前後、別の資料の平成4年全国平均504キロ玄米重)*16

 米の品種は画一化されていないようで(皆一斉にコシヒカリなどと産地化されていない)、天気、潅漑の具合、土地によって決めているという。 野菜も含めて種は自家採取だと言っていた。

雨季作の収穫は品種によって異なり、7〜10月までばらつきがあるという。夏作も2〜5月までが収穫時期。

国立民族学博物館に勤める知人が、インドネシアの焼き畑耕作民のところへ調査に入り、しばらく滞在したとき、やはり天候によってどの種をまくか決めていた、と言っていた。いくつか品種を取りそろえて持っているようだった。

 今回、車の窓から見ただけでも、田植え、青々と育つ田、収穫、稲刈り後の裏作栽培、とすべてが同時進行で、皆それぞれ勝手に田植えをしたり稲を刈っているように見えた。つまり、日本の農村のように村中総出で一つの作業をやるようには見えず、ビルマの人は個人主義なのでは、という気がした。やはり気候によって栽培時期が制約される風土と、自分の判断であれこれやれる気候とでは、生活スタイルもかなり異なってくるだろう。

Melvin氏らにこのことを言うと、農作業は家族労働が主だが、ときどき近所の人が手伝うこともある、と言っていた。

 農協等による機械のリースはあるのか、と元指導員が尋ねると、それはないという。元指導員も、あれは日本でもだめだった、やはりみんな自分のものでないときちんとメンテしないからな、と言っていた。共同利用はなかなかうまくいかない、結局個人所有になってゆくという。

 今栽培中の夏作にもただ同然で12篭の強制売却が課せられるようになったことに、心中怒っている農民は多いらしい。かごに大盛りにさせられたり、真ん中を微妙にくぼませて提出したり、と攻防戦があるらしい。中にはかごを強くするためだと言って、かごの上にさらに竹の輪をつけて嵩上げをはかるお役人もいるという。
しかし米農家の老人が
「政府には悪い米出すんでしょ」
と笑いながら言うと、
「そうそう、よくわかってるネ」
と急に元気に
「政府に売る米は別に安い品種で作る。1升220チャットもするブランド米は自分達で売るのに使う」
と言っていた。
また、やろうと思えば三期作可能だ、政府には2回までだ、と言っている人もいた。

昨日の道すがら見かけた荒れた田も、政府米用の田圃かという気もふとした。

 

イエジンの町:右は大学近くの市場



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Last updated:07/02/03 .  First uploaded:01/12/03 .  ©1999-2010 XIER, a division of xial. All rights reserved.