ド  イ  ツ  旅  行  8

ブリュール−ケルン

2016年春の記録

 ブリュール、ケルンはフランクフルトのやや北西に位置する。

 ドイツの森その2
 現在ドイツの森は、基本的に天然更新だという(植林しない、これには驚いた)。一部植林もするが、ドイツに多いトウヒ、ブナ、モミのうちトウヒは、適切に森を手入れしておけば次の芽が勝手に生えてくるため、日本のように植林が必要とされなかった。ただし天然更新の場合、動物の頭数管理が必要となってくる。(以上、林業用の森の話、アウトバーン沿いの防音林などは植林)

 以下、2009年の関西の林業関係者や林学の学生らによるドイツ林業視察会の感想文の抜粋:
 ドイツでもノロジカ・アカジカなどシカによる林業被害が多いが、今も狩猟を趣味とする人が多く、一定地域ごとに狩猟家が決められ、森林所有者に入山料を払い猟場としている。頭数調査は森林署と狩猟局が共同で行い捕獲頭数を決定、林業被害の減らない地域では森林官が森林所有者と狩猟家を呼び、狩猟家に対しもっと捕獲するよう指導する。狩猟家と森林所有者はもともと貴族と農民という身分の違いがあり、いまもその名残があるため森林所有者が直接狩猟家にかけあうことは難しく、森林官が間に立つことで話し合いができる。
 日本では鹿による食害について、行政で捕獲頭数を決め補助金が下りるが、誰が何頭捕獲するかの責任がはっきりしない。
 ドイツでは20ha 以上の大規模森林所有者は、十年ごとに森林施業計画を税務署に提出する必要がある。成長量に見合った伐採量が規定され、これを破ると罰則がある。
 日本では森林簿は存在するがきちんと更新されておらず、熱心な林業家以外は所有林の状態の分からない所有者が多い。

 また野島利彰氏の論文によれば、ドイツの森は天然更新により生育するが木材に加工できるまでに生育するのに約100年かかるとあった(日本の杉檜は35年〜40年たてば出荷時期)。
 なお、野島氏の論文は興味深いので、後半に抜粋で紹介する。




ヴァイルブルクからブリュールへ

 ヴァイルブルクでは古城ホテルに泊まった。  左下:古城ホテル全景とヴァイルブルクの町(右下)







 右上:りんご園 矮化栽培している   左下:大量に積まれた干草
 右下:幅広くマルチされた畑




ブリュール

右:アウグストゥスブルク城
ケルン司教の夏の城

イヤホンガイドをつけて回ると、部屋に入るたび各国語で解説が流れる仕組み

下:いかにもヨーロッパな幾何学的設計の庭園
地元の子供達が遠足に来ていた







 右上:宿木(やどりぎ)のついた木々 今回のドイツ旅行で、宿り木のついた木をよくみかけたが、樹勢でも弱っているのかなんだろう、と気になっていた。帰国後調べてみると、宿り木は沢山実をつけるので多産と豊穣のシンボルであり、古代ケルトのドルイド僧が宿り木の実をつけたオークの下で儀式を行っていたという記事を見かけた(西村佑子氏のブログより)。今でもわざと宿り木を残しているのだろう。
 左下はふつうのマルチの畑 極早稲のジャガイモかもしれない 春収穫のジャガイモはマルチして作ると聞いたことがあるので
 右下:工場も撮ってみました ドイツといえばやはり農業より工業




ケルン




上:ケルンの大聖堂の外観
カメラに収まりきらなかった

周囲にも中にも日本人や中国人、その他各国観光客が大勢いた
やはり外国人観光客は、フランクフルト周辺とローテンブルク、白鳥城界隈に集中している

左:入り口上方部

下:内部のステンドグラス







 左上:上方にパイプオルガンが見える   左下:床模様も見事   右下:タペストリーが展示されていた





 大聖堂の尖塔は、登ることができる。尖塔一番上からの景色と螺旋階段のようす
 登っているのはドイツ人の若者グループが多い



 下:有名なビアホールで昼食 ソーセージとマッシュポテトとザワークラフト、おいしかったです。
 この店にも日本人団体客が3組おり、一番大きな30人くらいのグループはベルギーとドイツを回ってきた、ベルギーでは(おそらくテロの影響で)全然日本人を見なかったと言っていた。





 上と左は、店内に飾られていたビール祭りのときの写真
 こういう、伝統の祭りを楽しそうに過ごす様子を見ると、やはりドイッチェランドはドイツ人のものだなあ、としみじみ感じる。

 ちょうどこの頃、日本の新聞で伝統的なソーセージ職人を紹介するコラムで、ドイツではイスラム系の子への配慮で学校給食でソーセージを出さなくなりつつある、でもそれは寂しい、というドイツ人職人の話を読んだことがある
 グローバル化や移民問題で配慮が求められているが、自民族の風習を素朴に楽しむのを自粛するのは違う気がする。日本でも餅なし正月(蕎麦や特に里芋を代わりに食べる)の家系がある(関東に多い)。あるいは将門信仰からキュウリを食べない地域も都内山間地にある(キュウリの輪切り断面が将門の家紋に似ているため)。それはそれで、誇りを持ってその伝統を維持すればいいし、餅やキュウリを食べる人たちは気兼ねなく食べればいい。お互いそれでいい、それだけだ。




 左上:独特の剪定をされた街路樹(ケルン市内)  右上:カラシ菜の花畑
 一路フランクフルトへ向かう途中、羊の群れを見た(左下)





 右上写真の左下にあるように、土が盛られているのをときどき見かけた。土を掘り起こしているのか、客土用の土にしちゃ少ないし、何だろう?


 ドイツ林業その3
 野島利彰氏の『ドイツの森林とその利用』を読むと、ドイツの森がどうして今の光景になったのかよくわかる。森の変遷にかかわる部分について簡単にまとめてみると:
 (氷河期など古代は省略)ドイツはもともとミズナラとブナを主体とする広葉樹の森だった。ローマ人を驚かせた針葉樹の森は山岳地帯のみ。中世までナラとブナを主体とした落葉広葉樹林で、現在のトウヒを主体とした森は約200年から150年前くらいに成立した。
 なぜこうなったかというと、林内放牧がある。林内放牧とは、林内の草や枝葉をウシ、ヒッジ、ヤギ、ウマ、ロバなどの家畜の餌にして飼育することで、さらにブタを林内に入れ木の実を餌にする肥育、林内での養蜂を含む場合もある。人間が食べられない森の緑や花を家畜とミツバチが栄養に変えてくれるため、ヨーロッパでは林内放牧が人間の食料を支えてきた。
 現在牛は牧草地で飼育されるが、ウシの祖先オーロクスはブタの祖先イノシシ同様、ヨーロッパ中部北部の森林に生息していた(オークロスは17世紀に絶滅)。牛は基本的には草を食べるが草がない場合は木も食べる。
 樹種の変化の原因:  1.放牧された家畜の好みから樹種が変化
 2.人間が燃料、器具材、建築材として選択伐採するため、広葉樹林の下層中層をなす木が減少
 3.放牧された家畜が小さい木の苗を踏みつけ低木の葉を食べて世代交代を妨げる
 低木や中くらいの丈の木がなくなると林の中に日が射し込むようになり、草が生えてさらに家畜の放牧に適するようになる。こうして、ブタの餌となるミズナラとブナの老木だけがポツポツ点在する、公園を思わせる明るい森が成立、これが中世の放牧林の姿だった。
 やがて老木は後継樹のないまま朽ち果て、もとは豊かな広葉樹の森が、開墾したり火入れせずとも、農地に変わっていった。
 一方、中世は戦乱や疫病が多く人口が減少する時期も多かった。人間が切り開いた畑が放棄されると、広葉樹の切り株から萌芽更新したり、マツやトウヒなどの軽い針葉樹の種子が風に乗って進出した。特にマツやトウヒは寒冷な気候に強く養分のない荒れ地でも育つため、こうした針葉樹がいち早く成長して森になった。三十年戦争で、ことにマツ林が増加した。今でも森の中に、中世の村や耕地跡を示す人工物や境界石を見ることができる。
 中世までは飼料をほとんど生産できなかったため、農村は林内放牧に頼ってきた。林内放牧による森林の荒廃が次第に問題となり、16世紀には深刻な薪不足を引き起こした。森林保護のため領主らは、農家の家畜頭数を制限したり放牧禁止区域を設けて、林内放牧を制限した。当然、農民たちは嫌がって規定を守らなかったりする。特に羊とヤギは害が大きいのだが、ヤギは貧しい農民にとって死活問題だったため徹底は難しかった。
 一部で採草地の育成が始まっていたが、18世紀に農業改革があり、休閑地での飼料作物の栽培・採草地の育成・ジャガイモの導入によって、家畜を畜舎で飼えるようになった。
 また、森林を回復しようにも広葉樹林は既に天然更新不可能な状態となっており、マツやトウヒを植林する以外方法がなかったり、さらに産業革命により、建材需要が増え飼料や薪より金になる針葉樹が植林されていった。こうして針葉樹の純林が増え、放牧に適さない森になり、林内放牧は終焉、林内放牧を行うのは山間地の後進地域のみとなっていった。

 今のヨーロッパの森は自然景観のようだが、実は人為的に規定されたものが多いという。たとえばドイツ中央部山地の森林限界は本来はもっと上だったのが、放牧によって数百メートル下がったという。あるいは、スイスアルプスの標高1800m以下のカラマツ林も、葉が薄くて日光を通すのでよい牧草が生えるため、本来は優勢なトウヒを除去して育てられたものだという。

 このほか、森林利用権の問題なども面白いので、興味のある方は原典を参考してみてください。



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