雑穀栽培記:東京編:防鳥対策

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2014/4/27

2011-2012年までの防鳥対策と、2013年のスズメ害、そしてその後の防鳥対策に関する記事です

2009年の東京編の記録はこちら

2011年

 黍と稗は山梨東部、粟と高黍は東京西部の山岳地帯に近い3畝ほどの畑で作ったが、スズメの害がひどく、黍と稗はほぼ全滅、粟もかなりやられた。

 黍と稗には防鳥ネットをかけたが完璧ではなかった。10年ほど茨城で作ったときはスズメの数も少なかったが、山梨の畑は中山間地で鳥が多い。わずかに田圃もあるが、畑にうどや細い木を植えている人が、田をやっている人からスズメの見張り場になるので切ってほしいと注意されたという。
 一方、粟は今までほとんど鳥がついたことがなかったので、防鳥ネットを張らなかった。しかし今回、粟にもついた。このため、今後は粟にも防鳥ネットをかける必要がある。現在、畑が山梨と東京西部に分かれているので、黍稗粟は同じ畑にまとめる必要がある。

 山梨で張った防鳥ネットを見ていると、一見したところOKだ。ただ観察していると、スズメはネットに乗りたわませて食べている。また小さい穴からも入っている。

 1.中央の支柱は高くしないとだめ たわむと確実にやられる
 2.古いネットはだめ 破れやすい 鳥が絡まっても破いて逃げられる
 3.一度見つかるとしつこい いったん味を知るとどんな穴を見つけても入ろうとする
 4.スズメは臆病なので、死亡者が出ると確実に来なくなる(茨城にて、絡まったり猫に捕まるなど)
 5.猫は有効。茨城の畑でもよく猫がうろついており、畑で羽の散った跡を見つけたりした。中山間地の山梨の畑に猫はいない。東京の畑にはたまにいる。

 このため、ネットを買い換えることにした。もう10年使っており、しかも安くて軽い赤ネットで(ちなみに網目は3X3)、本当なら2,3年が寿命のものだ(つまり今まで茨城ではこの程度でも鳥よけになっていた)。また、穴は確実にふさぐ必要がある。来年はこれで対応してみることにする。



2012年

 この年は大豊作だった。黍稗粟全体に新しいネットをかけ、スズメは最初からつかなかった(気づかなかったのかもしれない)。特に粟は半畝弱の広さにもかかわらず、米袋1.5とれた。地元農家の話では、昔は特に北側の丘陵に近いほうで粟をよく作っていたという。稗もよくできたが、長雨前に叩かなかったため萌芽してしまったものも多い。8月末はそばまき野菜準備その他忙しく、つい作業が後回しになり、干したまま雨にあててしまう。
 黍はまあまあだったが、タネを選別してこなかったことが良い穂のできない原因と考えている。粟と高黍は10年以上良い穂をタネ用にとってきたが、稗と黍はやってこなかった(今まで大体どの穂も良かったので)。ただ、茨城での後半あたりから黍穂のタネの付き具合がだんだん間延び(まばら)になってきているようで、気になっていた。やはりタネ用に良い穂を選別したほうがよいようだ。

 高黍はスズメがつかないので山梨で作った。高黍は種まき後、発芽率がいまいちなことがよくある。原因が鳥なのかタネか、今までよくわからなかった。さらに2年前に畑を変えたので、粘土土など土の要因もありうる。そこでとりあえず、種まき後に半分、不織布でおおってみることにした。
 2週間後に行ってみると、不織布あるなし関係なく芽はよく出ている。これなら補植の必要なさそう、と不織布をはずす。
 さらに2週間後に見ると、若干欠株が出ており、また芽が出ても小さいままのところもある。やはり今年も補植することになった。
 この頃までは、芽が出ても欠株するのは、高黍は粒が大きいので芽が出ると(豆のように)鳥がついばむのでは、と考えていた。しかしどうやら肥料不足やphの要因もありそうだ。小さいまま育たない株がある、ということと高黍は肥料を食う、ということは関係ありそうだ。
 小さい頃は一番気遣う高黍も、いったん育ちはじめると丈夫なので出来はよく、豊作といえる収量だった。ただ、やはり干しているとき長雨にあててしまい、さらに干し場が倒れて地面につき、萌芽してしまった。まずいことに、タネ用の束も同じ干し場に干していた。このため、2013年の発芽率に影響する結果となる。



2013年

 今までの雑穀作りの中で最悪の年だった。スズメに徹底的にやられたのだ。
 昨年、雑穀作りがうまくいったのでホクホクして規模を広げた。さらに、これが間違いのきっかけだったと思うが、雑穀用地の種をまいた2週間後、えんどうやソラマメ用地が空いた。あけておくのも勿体ないので、稗でもまいておくか、とまくことにした。飛び地になるのでネットは張れない箇所になる。が、去年スズメに見つからなかったし、少量だから大丈夫だろう、と考えた。

 高黍以外(後述)は順調に成長、2週間遅れの稗も成長が同じになり(豆やキューリでもよくあることだが)8月末同時期に実りを迎えた。8/29、行ってみるとネットの外の稗がかなり食べられていた。まあこれはおまけだし、鳥にめぐんでやってもいいや、とネット内の稗を刈って干した。この時点ではまだネット内に鳥はいなかった。
 このあと、9/4、5と大雨、9/6に畑に行くが湿って叩くことができない。また、ネット内の粟に若干鳥が食べたような跡があるので、まだ早い気もしたが黍も半分刈ることにした。さらに9/8、9あたり再び大雨の予想だったので、萌芽の可能性を考え、タネ用の黍と高黍を刈り、干し場には干さず自宅で干すことにした(結果的にこれが黍のタネ確保につながった)。
 予報どおり大雨があり、9/13畑に行くと、ネットの中に大量にスズメが入っている。干しておいた稗と黍がかなりやられている。稗は叩いて片付ける。このときは穴から入ってくると考え、念入りに穴を塞いで帰る。
 9/16台風通過で各地大荒れだったので気になり、9/17急遽畑へ行く。すると前回にもましてスズメが入っている。近づくと、いとも簡単にネットの網目からピュっと出て逃げてゆく。穴はあいていない。近くの地元農家の人が、スズメが上からホバリングして網目に飛び込むのを何度も見た、と教えてくれる。穴ではなく、3X3の網目でもだめなのかよ、どうすりゃいいんだと落ち込む。さらに、穴があいていない網目から飛び出る際、勢いで網目を破って出るところも目撃した。なぜ、重い(=丈夫な)青ネットが存在するのか理由がわかった。でもあれは値が高いし、そもそも破らずともすりぬけている奴もいる。
 とりあえず被害チェック、刈って干した黍は若干残っていたが(それでも午後叩いたらスーパーの小袋1つ)、まだ刈っていない立ち黍はほとんど食べつくされていた。今年は黍のできがよかっただけに非常に残念だ。
 さらに粟もかなりやられている。粟はまだ未熟でとても刈れる状態ではない。以前、四国の山間地で雑穀を作っているお婆さんから、スズメは未熟の汁を吸うのが好きだと聞いたが、おそらくそれだろう。なんだかモチベーション下がってしまう。

 ただ、もう1枚防鳥ネットを持っていたことを思い出し(赤ネットだが)、二重にかければホバリングしたり一気にすりぬけるのは無理なのでは、と思いついた。
 なんとか都合をつけ翌日さっそく畑へ行く。午前中にネットを二重に張り、野菜畑で作業をしながらふと雑穀畑のほうを見ると、なんとスズメがまた入っている。近づくとあわてて逃げるが、一気にビュっと出るのもいれば一度手前の網目につかまり2枚目をすりぬけるものもいる。つまりたわみ防止でピンと張ってあるおかげで(逆説的だが)二重でも方向を見定めて一気に突き抜けられるのだ(いちおう2枚の間には5〜20センチほど間があるのだが)。
 いったん野菜畑に戻り、作業しながら様子を見ていると、再びスズメが戻ってくる。ネットを支える支柱の上に一羽のスズメがとまり、周囲をうかがっている。私が近づくそぶりを見せると鋭い声で鳴き、中のスズメが一斉にばたばた飛び出てゆく。野菜畑に戻るとスズメもまたわらわらとネット内に戻る。スズメ隊長も支柱の上に舞い戻り、文字通り体ごと向きをあちこち変えてあたりを警戒している。また近づくと、スズメ隊長の一声、みな大慌てで飛び出してゆく。自分は食べずに食い意地張った仲間のために見張っているので、感心なスズメ隊長ではある。ときどき逃げ遅れてネット内を焦って飛び回るものもいる。引っかからないかと期待する一方、焦りまくる様子がなんとなく哀れで、少しネット持ち上げてやるか、でもそれには土中に固定した杭抜かないとならないし面倒だな、と見ていると、なんとか出ていった。
 そして野菜畑に戻ればまた性懲りもなく入ってくる。なんとなく、舌切り雀の民話がよくわかる気がした。自分も雀の舌を切る意地悪なんちゃらに絶対になってやる、つづらなんかいらんし、と思う。

 それにしても、ホバリングといい二重ネットすりぬけといい、テクニックはある。茨城のスズメは、最初ついてもネットを張り始めると畑の隣の木工所屋根に並び「もうだめだよ、もうだめだよ」というように皆でチュクチュク鳴き交わした後いっせいに飛び去り、その後つくことはなかった。あちこちに田圃があり、雑穀以外においしいものがある、ということもあったろう(稗と黍は若干米より早く実る。粟は重なるせいかつかなかった)。茨城のスズメはかわいいものだ。
 それに比べ東京のスズメはすれている(地元農家は「東京のスズメは頭いいでしょ」と言う)。さらにこの近辺に田圃はまったくない(麦は多少作っているが時期が違う)。雑穀に集中するのだ。一羽くらい引っかかってもよさそうなものだが(スズメは臆病なので死亡者が出ると絶対来なくなる)誰も引っかからない。
 これ以上とれる対策はないので、急遽粟を刈り、束ねて干すことにした。粟も大きい良い穂が多いが、まだまだ未熟で軽い。軽いが仕方ない。追熟を期待して、干した上に寒冷紗とトンネル用のビニールをかけた。下から入るのは難しいのではと期待して。

 9/22畑に行くとスズメはわずかだったが、近くの農家の人が昨日も大量に入っていたという。もうここにおいても仕方ないので、粟を叩く。まだスズメにに食べられていなくても穂は軽いまま、あまり追熟は期待できないようだ。いちおうタネ用に刈った大きな穂を叩かず2,3ヶ月おいてみたが、結局軽いままだった。

 ところで、叩いたあとの雑穀の茎を、わざとネットの外においてみた。完全には叩き落せていないので若干雑穀が残っているのだが、スズメはつかない。おそらく、地面に積みあがったところは猫やカラスに襲われやすいためではないかと思われる。積み上げ近くで羽が散っているのを発見したので。つまり、ネットをしっかり張ると、その中に入れる場合、逆に猫やカラスから安心して食べることに専念できる場所になってしまう。

 稗黍粟(黍と稗はタネ用のみ救えたが)とほぼ全滅、こういうことがあると一気にがっくりしてモチベーションも下がる。来年に向け、とれる対策は
 1.基本的に見つからないこと
 2.二重にする際一枚をふわふわさせる
 3.高いが2X2を買う 量販店では売っていないので注文になる。販売用に作っているわけではないので、そこまでお金かけるのも・・・
のあたりを考えている。


 高黍だが、今年も高黍をまいたあと半分不織布でおおってみた。一ヶ月たってもほとんどはえず、しかも不織布でおおった部分もはえていないので、原因は鳥ではないとわかった。そして昨秋、大雨と干し場崩壊で萌芽したものも多かったことを思い出した。
 高黍は秋の長雨で萌芽しやすく、湿気が多い日が続くと、まだ刈らずに立ったままで萌芽した年もあったほどだ。それでも翌年そこそこ芽が出ていたのであまり真剣に問題にしてこなかった。しかしこうなってくると、タネ管理はきちんとやらなければだめだと(今更ながら)気づいた。とりあえず一ヶ月遅れで再度厚まきした(どれか芽が出るよう)。
 いったん芽が出ればあとは順調なので、鳥にもやられず欠株箇所のあった分太く大きくなり、出来そのものはよかった。秋は色づいた穂からこまめに早め早めに刈り取るようにした。おそらくこれまで、高黍の生えの悪い年がときどきあったのは、秋に萌芽させてしまったタネ管理のせいだったものと思われる。


追記:
 ところでスズメが減っているとよく耳にするが、本当だろうか。畑近くの駅ロータリーの木々には、夕方になると大量のスズメがチュクチュク鳴き交わしている。数年前、大都会のど真ん中麻布十番の地下鉄出口ロータリーの街路樹にも、夕方たくさんのスズメがチュクチュク集まっているのを見かけた。自宅近くでも、空き地の塀の上に大勢スズメが並んでいるのをよく見かける(雑草の種を食べに来ているのだ)。とても減っているようには見えないのだが・・・。
 よく中山間地などで鹿やイノシシ、猿に畑の作物をやられ、いろいろ対策とっても効果がなく、耕作意欲を失い放棄する話を聞くが、その気持ちはよくわかる気がした。夏の炎天下、除草間引きして最後の最後、もっていかれるのは納得できない。きみたちを養うために作っているわけじゃないんだし、と思う。



その後のスズメ対策 2014年以降

 2013年の失敗の一つに、ネットの外の余った土地にも稗をまき、最初ここにスズメがついて呼び水になったことがある。(ネズミもそうだが)動物はいったんそこにエサがあることを知ると、あらゆる手段を尽くし、その後どんなに防御しても非常な執念で侵入を試みるようになる。
 そこでまず、雑穀は必ずネットの中に入れるようにした。まずこれが大事と思う。

 赤いネットではいったん見つかると簡単に入られることがわかったので、青い防鳥ネットを購入して試してみた。青ネットは、赤ネットに比べ丈夫で、その分重い。スズメはホバリングして、赤ネット(3cm)を一気に突き抜けていた(時に勢いで破っていた)。青ネットだと、それができないものと思われる(同じく3cm四方)。あるいは、青は見えにくいのかもしれない。
 いちおう念のため、青ネットの上に、これまでの赤ネットをピンと張らずたるませたりボヨボヨ丸めて乗せている(つき抜けようとすると絡まりやすいように)。
 いちおうこれで、2014年以降現在(2016)に至るまで、スズメの害に遭っていない。



2016年再びスズメの害

 2016年も、最初は無事だった。稗や黍が実りはじめ、出来がいいと思っていた矢先、ネットの上に出ている稗の穂と、ネット内だがネット近くにある稗と黍の穂が食べられている。さらに、ネットをかけていない高黍にいくつかスズメがついて食べている。


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