北沢川烏山川沿いの畑


 北沢川と烏山川にも書いたが、かつて東京の区部西部にも畑が広がっていた。
 冬は麦、ネギ、大根など、夏はおかぼや各種野菜を作っていた。

 子供の頃に比べだいぶ減ったが、それでもまだ、ところどころに畑が残っている。ハウスもあれば、露地でキャベツ、トウモロコシ、サツマイモ、サトイモ、ジャガイモ、ネギ、ナス、キュウリを作っていたり、造園業を営んでいる。果樹園もある。

 畑の周囲を分譲し、周りを家屋で囲った内側に畑を一枚残しているところも多い。つまり、畑への出入り口は農家の裏しかなく、外からは畑のあることが見えない。



 都市部の農家に対する逆風は強い。
 農家は元からの住民なのだが、広い土地を持つことに対する妬みもあるし、酪農を営む農家には臭いに対する苦情も来る。バブル期には都市部の農地はすべて宅地化すべきだという極論すらあった。

 今はなくなったが、一時期ある畑の脇に、「風の強い日には土ぼこりが飛ぶ、できるだけ飛ばないよう気をつけているが、どうぞご理解を」と近隣住民に対する看板の掲げられていたことがあった。
 新聞の投書欄にも、埼玉に越した人が「せっかく緑が多くてよいと思ったのに、周りに畑が多く土ぼこりがひどい、どうにかならないか」と書いているのを見たことがある。

 土ぼこりくらいよいではないか。黄砂ではあるまいし、アスファルトに覆われない土地なら当たり前の自然現象、地球に生きていれば当然のことだ。土と共に生きよう。
 また、越してくる前に周囲を見ればすぐにわかることでもある。土や虫、臭いが嫌なら人工的な都心に住めばよい。強制移住でもないし、昔から住んでいる人が新住民に気兼ねしなければならないのは変だ。



 もともと武蔵野は関東ローム層の黒い肥沃な畑作に適した土地だ。実は、宅地にするのは非常に勿体ない。
 できれば今残っている畑は、これ以上開発せず、このまま生産緑地として残したほうがよい。
 都市でも農地を維持し、農業を続けられるよう保護すべきと思う。

 逆に農業生産性から見た場合の発想として、皮肉をこめて言うのだが、平野の宅地も畑に戻して、農業に適さない土地を宅地化すべきとという考え方もありうる。



 ところで、今、昭和30年代40年代に入居した建売を中心に、中野杉並世田谷あたりでは空き家が増えている。子供世代はもっと郊外に家を建て、親世代が亡くなっても誰も住まない。いずれ相続等で売りに出されるのだろうが、便利な土地に空き家が増えるのはもったいない。

 多摩ニュータウンや千里ニュータウンでも高齢化が伝えられているが、里山を壊して、長期的に維持できない、30年で捨てられるような町を作るのはもうやめよう。


 というわけで、いつ消え去るかわからない貴重な畑の姿を、宅地化される前に記録に残しておくことにした。


撮影年:2008年5月

北沢川沿いの畑


上北沢1


桜上水 水道道路沿い


桜上水 水道道路沿い


支流農業用水沿い 桜上水2


支流農業用水沿い 桜上水2


支流農業用水沿い 桜上水2


支流農業用水沿い 桜上水2
 区の農業施設


支流農業用水沿い 桜上水2


支流農業用水沿い 桜上水2

支流農業用水沿い 桜上水2



桜上水1


桜上水1


桜上水1


桜上水1


桜上水1


桜上水3


支流農業用水沿い 赤堤4


支流農業用水沿い 松原4


支流農業用水沿い 赤堤2


支流農業用水沿い 赤堤2


支流農業用水沿い 赤堤2





上北沢1


桜上水5


桜上水5


桜上水5


上北沢1


上北沢1


上北沢1


上北沢1


上北沢1


上北沢2


上北沢2



上高井戸3 農業用水沿い
 この先に玉川上水がある
 


上高井戸3


上高井戸3

烏山川

 烏山川沿いは、八幡山あたりまであまり畑は残っていない。国士舘西にあるのだが、完全に住宅地に囲まれた農家の裏にある。八幡山あたりからぼちぼち見受けられ、粕谷や北烏山はある程度残っている。
 上流に続く中川沿いの北野付近には、畑や屋敷林が豊富に残っている。おそらく、これだけまとまって残っている箇所は、都内でもあきるの市あたりまでいかないと無いと思う。


八幡山1


八幡山1


八幡山1


八幡山明大グランド下





粕谷 粕谷の竹林は有名

北野 (中川沿い)

 三鷹市北野から新川にかけては、一区画1ha以上ありそうな広い区画の畑も多い。屋敷林の巨木に囲まれた農家も点在し、東京とは思えない。

 以下は、北野に今も残る武蔵野の森と畑のようすだが、できればこのまま生産緑地として残ってほしい。




 屋敷林はかつての武蔵野の森を残す







 牧草地のように広い一画。






追記:2010/5
 2年ぶりに牟礼から北野、新川をめぐってみた。まだまだ畑は残っているが、新しくアパートや建売、建物が建ったところもある。農地が減ってゆくのはさびしい。

 このページを作成したとき、地元農家の人からメールをいただいた。
「わが町の北野のことをとりあげていただきありがとうございます。」と始まる文章によれば、

・多くの農家が65歳以上になり、後継者がおらず、高齢化の問題が深刻だ
・小規模で生産性が合わず、農業だけではやっていけない。ほとんどの農家がマンションを建てて不動産で食っているのが現状
・相続の問題もあり、相続人が農業を継がない場合は高額な相続税を課されるため3代でつぶれてしまう。たとえ継いでも、途中で体を壊した場合、それまで税制猶予を受けた部分について、利子税が掛かってくる。このため、(期間にもよるが)本来の相続の2倍は負担せざるを得ない。これでは怖くて安心して農業を継続できない
・個人としては北野のこの風景を残していきたいが、様々な要因から難しいと思う。東京都心近くに、これだけ農地が集積しているところは皆無と思うので、できるだけ残してゆきたいが・・・

と都市部での農業の問題点を指摘していた。

 都市部で農家を継ぐ場合の相続税問題については、『都市農業を守る』(蔦谷栄一著 家の光協会)でも指摘されている。千葉の農家の知人からは、一代飛ばす(孫を祖父の養子にする)話を聞いたことがある。結局このへんがネックで畑が消えてゆく気がする。



牟礼 (中川先)

 三鷹市牟礼には、丘全体が畑や果樹園になっている一帯がある。丘に登ると山里に来たかのような錯覚にとらわれる。裏は玉川上水が流れる。







梅畑





キーウィー畑


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