東 京 近 郊  の 山  尾 根 歩 き
奥  秩  父  1

 奥多摩の地図を見ると、東京都最高峰の雲取山から西へ尾根が続いている。この尾根をたどると、飛龍山、唐松尾山、破不山を通り長野との県境に達し、甲武信岳、国師ヶ岳、金峰山へと連なる。ここも縦走できそうだが、全般に2000m前後の尾根、国師ヶ岳から金峰山は標高2500〜2600m、東京近郊にしてはなかなか歩きでのありそうな尾根道だ。

 ガイド本やブログで情報収集しつつ、瑞牆山荘から東へ向かうか、奥多摩から西へ歩くか迷った。エアリアなどのコースタイムを合計すると、西から東コースのほうが若干歩く時間が短い。奥多摩出発の場合標高500mあたりから登り始めることになるが、瑞牆からだと登り始めが1500m地点になる。全体で見れば、奥多摩から行くほうが1000m余計に登ることになる。
 ただ、瑞牆コースだと始発のバスでも登り開始が10時と遅い。まだ残暑の厳しい季節、できるだけ早朝涼しいうちに登りを稼いでおきたい。また、コース的にも、慣れた東京近郊の山からだんだん遠くへ行くほうがわくわく感がある。

 ということで、奥多摩から縦走することにした。本当なら雲取から行くべきだろうが、雲取は別途歩いているので今回ははずした。

目次:1日目奥多摩−丹波天平−サオウラ峠−熊倉山−飛龍山−将監峠−唐松尾山−雁峠
   2日目雁峠−古札山−水晶山−雁坂峠−破不山−甲武信岳−国師ヶ岳
   3日目国師ヶ岳−大弛峠−金峰山−大日岩−瑞牆山荘

  瑞牆山:川上村南沢−松平林道−不動滝−瑞牆山
  小川山:川上村南沢−県境尾根−小川山
  信州峠から清里:信州峠−横尾山−木賊の頭−飯盛山−清里

  奥多摩:西鴨沢−雲取山  雲取山−酉谷山−天目山−蕎麦粒山−棒ノ嶺
      お祭り−三条の湯−飛龍山−雲取山−白岩山−霧藻ヶ峰−三峰

  大菩薩嶺:裂石−上日川峠−大菩薩峠−大菩薩嶺−ニワタシバ
       大菩薩峠−小金沢山−牛奥ノ雁ヶ腹摺山−黒岳−ハマイバ丸−大谷ヶ丸−滝子山



縦走1日目
奥多摩−サオウラ峠−丹波天平−熊倉山−飛龍山−将監峠−唐松尾山−雁峠

2011年9月中旬
コース記録: 鴨沢西4:40−後山林道5:10−廃集落5:55−丹波天平7:45−サオウラ峠8:30−熊倉山9:25−前飛龍10:40−飛龍山分岐11:30−12:20(昼食)12:30−将監峠13:40−山ノ神土14:10−唐松尾山15:15−水干16:40−雁峠17:10

 鴨沢に素泊のみ自炊可の民宿「山の家」がある。安いが部屋、台所とも清潔、布団シーツもきれいだ。ガイド本には載っていないが早朝出発に便利、穴場的宿だ。留浦行き最終バス(最終バス停から15分ほど歩く)なら午後都心発でも十分間に合う。



 鹿倉山の尾根に落ちる月(左上)。早朝にも関わらず、結構車が通る。ほとんど甲府方向へ向かう車だった。夜中もそこそこ通っていた。さすが”新”青梅街道。

 後山林道から上がる予定が、台風による土砂崩れで歩行者含め全面通行止め。急遽、丹波天平尾根から飛龍に登る。歩きやすい林道と異なり、このコースのほうが時間が余計にかかる。今日中に雁坂峠まで行きたかったが、難しくなった。
 また、本当はこの道は三条の湯に入りがてら三峰に抜けるコースでのんびり歩きたかったのだが、それも組み直しに。その際の雲取−飛龍間の埋め合わせウォークの距離も長くなるが、仕方ない。

 この道沿いには、かつて高畑と後山の2つの集落があった。電柱や(右上)水道栓(右下)がまだ残っている。左下は炭焼き釜のあと





 今も残る山中の家。最初の高畑集落に3軒ほど家屋が残り、10分ほど歩いた先の後山集落は2軒ほど跡地があった。高畑では旧型の洗濯機と思われる白物家電が転がっていた。おそらく昭和30年代頃まで人が住んでいたのだろう。当然車は通れない山道。ここまで家電やガラス、サッシを運んで家を建てていたのだ。

 丹波川(多摩川上流)沿いで新青梅街道の通る親川集落からここまで30分ほどかかった。車のない自給自足に近い時代なら、村里に出る用事もそう頻繁ではなく、周囲の生活レベルも似たようなものだったろうから、山中の生活もことさら他所と比べて不便というわけではなかったろう。明治以降、義務教育が始まり現金が必要な生活形態に変わり、車という交通手段ができると、山中に住むのは不便になったのだろう。

 漂海生活をしていた家船や山の漂泊民も、義務教育(子供の学校)がきっかけで定住したという話は多い。また、以前は漂泊民と定住民の生活レベルにそう差はなかったが、明治以降都市の、ついで農村の生活レベルが向上し、それに伴い昔と変わらぬ生活への蔑視が芽生え、さらに定住化が進んだという。



左上:右上の家の前に岬のように突き出た尾根。下が畑になっている

後山集落最後の家跡から天平尾根への登山道が始まるのだが、右へ巻き道のような踏み跡がある。これは作業道のようで、家の上を尾根へ直登する急坂が尾根に出る道になる。

針葉樹の植林帯を抜け、尾根に上がりしばらくゆくと保之瀬天平に出た(左)。広々とした尾根で道を見失いそうになるが、標識があった。
(天平は”でんでえろ”と読む)





左上:ところどころにある草地。水分の多い地が草地になっているようだ
左下:丹波天平(たばでんでえろ)1343m 広々とした落葉樹の森が続く
右下:倒木などを玉伐りして始末したあと。ここまでチェーンソー担いで登ってきて作業している人がいる

 尾根はなまこのように広いところもあり下草のない落葉樹の森なので、踏み跡程度の道を見失いやすい。ところどころ目印のように棒杭が立っていた(右上)。赤テープや足の感触(地面の硬さ)とともに道判別に活用するが、尾根をはずさなければどこを歩いてもOKな感じではある。





左上:サオウラ峠(地元表記はサヲウラ峠)  右上:峠脇にある中川神社の解説
左下:熊倉山1624m  右下:熊倉山前後から尾根に笹が多くなり、蜘蛛の巣も多い。飛龍山方向に黒雲が湧き、あやしい天気だ。





左上:南東方向を望む 奥に大菩薩の山並みが見える。雲が多く富士山は見えない
右上:前飛龍1954m この前後の道は岩が多い
左下:東の雲取方向をのぞむ  右下:台風の害か倒木が多い
前飛龍を下ると、尾根脇を行く歩きやすい道になる。このあたりでこの日初めてハイカーに会った





左上:飛龍山分岐 右手に飛龍権現の祠が見える。飛龍山は次回登るとしてこの日は先を急ぐ。いい感じの尾根道が続くが、曇りで遠くの景色はいまいち





左上:水源林の名にたがわず、湧き水も多い。ちなみに雲取−将監峠間の道は東京都の水源林歩道
右上:沢の源頭部に多いガレ場を何箇所か通過する。落石の巣のようなところ
左下:将監峠   右下:牛王院平 このあたりで雨がぱらつきはじめ、合羽を着た





左上:山ノ神土 ここから巻き道と唐松尾山を行く尾根道に分かれるが、所要時間は同じ。尾根をゆくことにする
右上:唐松尾山への道   左下:唐松尾山2109m
右下:唐松尾山からほどない岩場ピーク。この直前に一瞬巻き道に見える左(南側)へ行く踏み跡があるが、やがて熊笹の中に消えてしまう。うまく巻けるのかもしれないが、ピークに登り直進(西へ下る)ほうが道が明瞭だ





左上:かなりガスがかかってきた。展望が望めないので笠松山はやめ、水干を見に行く(右上)
左下:水干 多摩川の源流     右下:水干以降の道は広々と整備されていた





左上:多摩川、荒川、富士川の源流を分かつ分水嶺の碑。甲武信岳も荒川、信濃川、富士川の源流を分かつ分水嶺になっている。このあたりで晴れてきた。

笠取小屋へ着くと誰もいない。あとでテント代を郵送せねば。
レジャーシートで作った自作テントはなかなか快適。嵐や雪山でなければ十分使える。100円ショップのオートバイカバーでフライシート代わり(右上)。
一方、ガスとストーブがつながらない、ヘッドランプが球切れと予想外のトラブル発生。炊事はメタで代用(下山後ストーブは普通に使えた、原因不明)、灯りは100円ショップのミニLED懐中電灯が大活躍。「熊出没注意」の立て看があったので食事は残さず(匂いを出さず)ラジオをつけて寝る。夜中じゅう月明かりでほの明るかった。

後日笠取小屋へ連絡したところ、テント場脇の避難小屋の中に料金箱があり、そこへ入れる仕組みになっているとのことだった。

水干の先、唐松尾山の下で将監峠方向へ一人向かう女性とすれ違った。将監峠まで約3時間、もう4時半近くエスケープ道もない。笠取小屋に泊まるほうがよさそうだが、ヘッドランプで将監小屋まで行くつもりか、途中ビバークするつもりか。ただこのあたりは国立公園なので本当は指定地以外でのテント泊は禁止。銀マットを背負いフル装備だったが、不思議な気がした。




hidari.gif 大菩薩嶺奥秩父2 甲武信岳 migi.gif


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