稚内フェリーターミナル
　待合室で旅行客が、昨日利尻泊の予定が欠航になったため、今日乗ることになった、と話している。道北道西多雨で、稚内旭川、札幌旭川などの特急、留萌線が運休しているとも言う。中国人白人観光客も多い。ツアー添乗員が、中国人は一等を取りたがると言っていた。
　日本人の個人客は登山の格好が多く、百名山狙いかなと思う。

　稚内港が遠くなる

　右上：利尻島が見えてきた

利尻島　鴛泊港　　バスで鬼脇へ向かう

　鬼脇にある利尻島郷土資料館　かつての鬼脇村役場

　天塩から泳いで渡ってきたヒグマの話や（2018年、再び利尻に泳いで渡ったヒグマが出て話題になった）、出稼と移住は青森の人が多い、大正７年鬼脇村の３０％が青森の人、その他秋田岩手山形北陸など、出稼はニシン漁がさかんだったため、などの展示がある。
　かつて小樽利礼航路があった話も興味深い。明治１８年、小樽−増毛航路を、開拓により人や物資の交流が盛んになった宗谷・利尻・礼文に延伸した。明治２５年、増毛網走航路が冬季も鬼脇・鴛泊・香深（いずれも利尻島）に寄港するようになる。明治中期、ニシン漁最盛期、明治３３年出稼者のために小樽稚内航路が冬季も航行するようになる。寄港地は増毛・焼尻・天売・鬼脇・鴛泊・香深、小樽から稚内まで２日かかった。大正４年沓形・仙法志・船泊も寄港地となり、利尻礼文のすべての自治体に定期船が来るようになった。
　昭和に入ると鉄道の利用が盛んになり、稚内が交通の拠点となる。昭和１１年稚内利礼航路開設、昭和２０年両島の６自治体すべてに寄港するようになる。このため、小樽稚内航路から稚内がはずれ、小樽利礼航路となった。
　昭和３０年代以降、トラック輸送が中心となり、稚内利礼航路はいち早くカーフェリー化高速化をはかった。小樽利礼航路は後れをとり、平成１２年１２月２９日、１０８年の歴史を閉じた、とある。
　年配の人が窓口にいたので、少し話す。利尻は空襲はなかった、ソ連の樺太侵攻のあと次は利尻礼文だという感じもなかった、と言う。

　鬼脇の町　　戸建の区域と、町営住宅（と思われる）一画
　北海道は、ここに限らず千歳でも網走周辺でも、こうした長屋のような町営住宅が多いと感じる

　北見神社　場所請負人藤野喜兵衛が伊勢の御師に請願し建立
　北海道三景の碑は、大正１２年小樽新聞が北海道名勝三景を読者投票で選んだ結果、利尻富士が一位になった記念碑
　綱島貞助顕彰碑は水産業の発展に尽くした綱島氏を記念し昭和２年に建立　新潟から明治４年に利尻に入植し、鬼脇村総代にもなった

　鬼脇から歩いてオタトマリ沼へ

後ろに利尻富士が見える景色のよいところ

写真では人が写っていないが、大型観光バスが停まり、土産物屋も２軒あって、けっこう人が歩いていた

歩いて南浜湿原へ

左下はじゃがいも畑

　途中沼浦で畑仕事をしていたお婆さんと話す。今頃まだじゃがいもあるとは、この辺はずいぶん遅いですね、と言うと、「いや今年は特別、雨が多くて日が照らなかったから」、今日こうして晴れたのも久しぶりだという。昨晩は雨がひどかった、それまでも雨でなくても曇りばかり、気温も低くおとといその前とストーブをたいた、胡瓜も小さい、そこももう花咲いていいのに咲かない、と指さす。
　青いネットはカラスよけで、じゃがいもの芽が出るとついばむのだという。じゃがいもの芽を食べるカラスなんで聞いたことないが、北は食べ物が少ないのだろうか。「かつて小樽航路もあったんですね」と言うと「そうそう、宗谷本線も夜行がなくなったし、不便になった」と言った。

　やはり北の島、晴れているから美しいが、木の生えない（おそらく冬や曇りなら）荒涼とした海岸が続く

　左上のような道を延々歩く　道の両側は、上下の写真のように海と丘と利尻富士と草原だが
　左下：魚網を干していた　こうした砂利を敷いたところは魚網干場のようだ

　上：南浜湿原　オタトマリ沼と似たようなところだが、規模が小さく店もなく人もほとんどいない

　南浜からバスに乗り、沓形へ

　沓形の町と港　　　右下：立派な新庁舎がある

　右上：沓形の北見富士神社　　　　左下から、再びバスで鴛泊港へ

　左上：礼文島が見える

　左下：山旅の団体客がおり、宿の人が大漁旗で見送っていた
　若い親子が（おそらく）夫を、若者が友人か恋人を手を振って見送っていた