奥 の 細 道 8  山形編2

 まず、信仰の山出羽三山(羽黒山月山湯殿山)に登りました。この登山については、別項を設け月山に載せています。
 山形県上山市周辺は祖父の出身地なので何度か訪れたことがありますが、新庄の先は今まで行ったことがなく、楽しみでした。
 最上川沿いの国道は白線歩道しかなく車の通行量も多いので、川下りの船に乗れたらそのほうが安全で面白いと思います(芭蕉も乗っているし。JRもある)。酒田からは日本海沿いを歩く道。標高の低い奥羽山脈の中で、鳥海山がひときわ目立ちます。象潟は、こういう風景のところだったのか、と驚きの景色でした。
 なお、山形県内は統一パンフレットの形で各市町村ごとに「おくのほそ道歩くマップ」が出ているので(無料)、手に入れると旧道情報がよくわかり歩きやすいです。


新庄−本合海−古口−酒田(山形県)

本合海までバス。左下:本合海の芭蕉が乗船した地点。






左上:川は水量多くごうごうと流れ、まさしく”五月雨を集めてすずし”だ
右上:道端のお地蔵さん。このほかにもあちこちで地蔵堂を見かけた。山形には地蔵堂が多い。上ノ山の祖父の集落にも地蔵堂があり、祖父はクリスチャンだが、子供の頃お地蔵さんのおかげで命が助かったとエッセイに書いている。
左下:川沿いに田んぼがつづく

 ところでこの道、ひたすら国道沿い、しかも交通量が多く飛ばすので歩きにくい。途中まで歩道があるが、新庄温泉あたりからなくなる。大型トラックが爆走し、歩行者がいるといちおう大きく避けてくれるがそれがかえって申し訳なく、また対面衝突につながりかねず危ないとも思うので、何やら歩いてはいけない雰囲気をひしひしと感じる。本当は、道はもともと歩行者のもので、車が後からきたはずなのだが・・・。
 途中、洞門(半トンネル箇所)があるのだが、車道脇は白線も狭く歩行者にとっても避ける車にとっても危ないと感じたので、1.5m〜2mほど上の鉄骨を支えるコンクリ基礎上を歩くことにした。同じ考えの人は多いようで、砂ボコリの上に多数足跡が残っていた。





蔵岡集落からは再び歩道がある。
左上:戸沢村の道の駅。なぜか高麗館とあり、韓流グッズを売りにしていた。村の産品は隅のプレハブで売っている。歴史的に古いつながりがあるわけでもないようで、日韓交流のため建てた等々由来書きにある。

右上:最上川の川下り タッチの差で船を逃してしまった。このあと延々集落はなく、歩道なしと予想されるのでJRで移動することにした。船に間に合うなら川下りも面白い。草薙で下船後JR高屋まで送ってくれるという。




右上:狩川の風車

左:酒田の本間家旧本邸
中は写真撮影禁止

北前船で栄えた酒田は本間家で有名。「本間様には及びもせぬが、せめてなりたや殿様に」という言葉を昔本で読んだ記憶がある。
商家と武家屋敷の両方の様式で建てられている。巡検使の本陣宿として建てられ、荘内藩にいったん献上、拝領したためで、正面が武家屋敷、奥が商家造り。




出羽三山(山形県)

山歩きはこちら



吹浦−酒田(山形県)

吹浦−酒田間は羽州浜街道が通っている。芭蕉もこの道を通ったというので行ってみた。なお、時間がなく、酒田−南鳥海間はJRを利用。



特に街道名を書いた道標があるわけではなく、浜街道は砂浜を歩くらしい。雨だったので砂浜は避け、海岸脇松林内の林道を歩くことにした。

左下:十里塚の海水浴場 東北はまだ梅雨明けしておらず、人はまばら。奥に風車が数機回っているのが見える。
十里塚から砂浜に未舗装車道がついており、なにやら工事中で大型トラックが次々入ってゆく。というわけでこのあとも防風防砂松林中の道を行く
右下:強風のためか斜めに傾いた松林
十里塚−服部興野間はキロ表示や地名表示の道標があり、砂浜や国道側へのエスケープルートも多い。





左上:服部興野からさらに南へ、道は防風林を出て海岸沿いに続く。ここにも風車が数機回っているのが見えるのだが、安い広角レンズカメラにはうまく写っていない
右上:服部興野の村社船玉神社 服部興野は立派な家が多い。集落南にニシン御殿の旧青山本邸があるという(時間がなく寄れなかった)。
左下:吹浦から酒田まで、防風林とはまた別に、国道の東に海岸に沿って丘陵が続いている。この丘陵の尾根も歩けるようで、上藤崎の峠で出入り口を見かけた。写真は南側の上藤崎線(林道)。
右下:庄内平野の田んぼの中に島のように集落が浮かぶ独特の光景





左上:越えてきた海岸沿いの丘陵が遠くに見える   右上:外野集落(地蔵様祭りの里とある)
左下:村社保食神社 人の石像が両側に建つのが珍しい。
このほか永持寺があり、荘内地蔵菩薩霊場第八十五番とある。四国へんろや秩父霊場廻りのように、このあたりでは地蔵菩薩廻りがあるのだろうか
右下:千代田 立派な家が多い




吹浦−三崎山−象潟(山形、秋田県)

吹浦−酒田間とは逆向きで歩く。まあ芭蕉はこの道を往復しているので・・・。



吹浦の駅についたら、タクシーが1台待っていた。ウォーキングなので乗らないことがちょっと申し訳ないと思いつつ、神社へ向かう。
左上:吹浦の大物忌神社 鳥海山吹浦口ノ宮   右上:海岸沿いの国道を行く 歩道がきちんとついており、歩きやすい
左下:防風柵内の畑(湯ノ田付近)  右下:女鹿集落



 このあたりの漁村で、移動販売車が音楽を鳴らしながらやってきた。するとあちこちからお婆さんたちがカゴを持って出てきて、販売車の停まった広場へ向かう。そのカゴが、色とりどりのPPテープで作ったもので、網代で編まれきれいな模様が出ている。
 瀬戸内海の島で、同じくPPテープで石畳編したカゴを見たことがある。どちらも自分たちで編んだ感じだ(特に島には店ないし)。PPテープは濡れても問題ないので漁村で使いやすい。
 2012年あたりからPPテープのカゴが渋谷などの雑貨屋で安く売られているのをよく見るようになり、ベトナムあたりで作らせているという話だが、もとは漁村でやっていたことにヒントを得たのでは、という気がした。



右上:三崎山 峻坂絶壁の天然の要塞で有耶無耶の関のあったところ。ここから奥の細道旧道(三崎山旧街道)が整備され歩けるようになっている。





右上:再び国道に合流  小砂川集落付近   左下:象潟 芭蕉が宿泊した向屋能登屋跡地付近
右下:ねむの花が咲いていた 芭蕉も梅雨時にこのあたりを歩いている






上:蚶満寺   右上:参道
下:田んぼの海の中にかつての島が浮かんでいた。象潟の九十九島とはこういうことだったのだ!なかなか面白い光景で、遊歩道も整備されていたのであちこち歩き回る。
ちょうどガンジス川下流、バングラデシュの農村風景に似ている。雨季の洪水に備え、数m土盛りした上に人家が建ち林があり、乾季に見たときには土の大地の海に緑の島がぽつぽつ浮かぶ不思議な光景だった。





左上:雄大な鳥海山 奥州山地は全体に低山なので、2200mくらいの鳥海山は目立つ



鶴岡−三瀬 (山形県)



左上:矢引峠への道(水沢付近)
右上:時折、畑に一列、高黍が植えられている(新潟でも見かけた。こんな少量、精白はどうしているのだろうと気になった)
左下:矢引峠を越える旧道 車の通れる道なので幅は広い。峠を越えると高速道路脇に出る
右下:三瀬への道 川沿いに棚田が広がる




 三瀬−鼠ヶ関間は日本海沿いの道で、地図からは新潟の海沿いの道に似ているように見え、できれば2013年の平成奥の細道大会の大垣ウォークに間に合わせたいというのもあって今回はカットした。ここはいずれ埋め合わせしたいが・・・。




歩行年:2012夏

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