八  ヶ  岳  変  則  縦  走  1

 尾根歩きの延長で、八ヶ岳を南から北へ歩いてみた。ただ台風の影響により、いわゆる核心部でちょうど強風と雨にあたってしまったため、核心部は歩いていない。地蔵の頭−赤岩の頭間は折を見て歩こうと思う。
 今回、2泊3日で結構余裕だった(下にも書いたとおり、テント泊でなく小屋泊まりで荷物が軽かったというのもある)。また核心部を避け樹林帯を歩いたためコースタイムで2時間あまり余分に歩いたことになる。地蔵の頭−赤岩の頭間も尾根歩きできれば、足の速い体力のある若者なら観音平−蓼科山間を1泊2日で縦走可能とみた。

 なお、今回は奥秩父縦走のときとは異なり、テント装備は持たず山小屋泊まりとした(ツェルトは装備)。あまりに荷物が軽いとトレーニングにならないので、食糧は担いで自炊にした。テントをやめた理由は、持っているのが自作のちゃちなテントかツェルトなので、2000m高で雨風になるとまずいかも、というのと、自立式の立派なテントの中一人自作テントは恥ずかしいかも(こちらのが大きい)ということからでした。奥秩父や上野原界隈のマイナーな山なら、自作テントでも気にならないのですがね。さすが八ヶ岳だと色とりどり立派なテントばかりでした(自立式、持っているのだが、震災用に備えたもので(いちおうICIで買った登山用)家族数人入れる大きさのため重い)。

目次 1日目:観音平−編笠山−権現山−赤岳
   2日目:赤岳−赤岩の頭−根石岳−東天狗−茶臼山−縞枯山
   3日目:坪庭−北横岳−双子池−大河原峠−蓼科山−プール平

   南八ヶ岳尾根:美濃戸口−横岳−硫黄岳−夏沢峠−稲子−海尻  雪の北横岳



観音平−編笠山−権現山−赤岳  2012年9月中旬

コース記録:観音平5:00−(途中朝食15分)−雲海6:00−6:35押手川6:40−7:45編笠山8:00−8:25青年小屋8:35−権現山9:50−11:05キレット小屋12:00−赤岳山頂13:35−赤岳頂上小屋13:40

 小淵沢に最終電車で12時過ぎ着、ムーンライトしなのが着く3時台まで駅で仮眠。しなのが到着し、ちらほら人が下りてきた。観音平に行く人がいればタクシーをシェアしようと思っていたが、大半が小海線の始発を待つ人たちだった。一人観音平に行く人がいたが、歩くという。当初自分も歩こうかと考えたが、今から歩けば観音平着6時になること、後の道のりが長いため体力を温存しておきたいこと、また最近アスファルト道の長距離歩行はできるだけ避けるポリシーにあることから(理由はこちら)、深夜料金の終わる5時にタクシーで観音平まで行くことにする。
 早めに来たタクシーが深夜料金をまけてくれ、5時に観音平に着くことができた。連休ということもあり、車がずらりと路駐している。運転手の話によれば、10年前までは大勢若者が八ヶ岳に来たが、この10年だいぶ減ったという。今山ガールなど登山が再ブームになっていると聞くので、八ヶ岳に来る人が減っているとは不思議な気がした。知り合いは山ガールは高尾や富士山に多い、今年は北アルプスにも大勢いた、有名なところに多いようだという。確かに奥多摩奥秩父などではまったく見かけない。しかし八ヶ岳は有名な山と思うのだが・・・。
 空が白みはじめてきた中、登山口(左下)から登り始める。岩と笹の多い道(右下)
 休日なので、続々登山者が歩いている





上 八ヶ岳はシラビソやダケカンバの林が多く、杉桧の人工林は見かけない
右上 押手川 登山者が苔を手で押して染み出す水を飲んだ云々説明書きにある。東側に展望台がある
下 午前中はよく晴れ、富士山もよく見えた   右下:南アルプスもよく見える





上 編笠山山頂2523.7m   右上 西岳方向
下 これから向かう権現岳への尾根道   右下:鞍部にある青年小屋を見下ろす



青年小屋への下りは巨岩がごろごろ積み重なった道。身軽にひょいひょい下りて行く人もいるが、私はこの手の岩道は結構苦手。慎重に手をつきながら下りる。
青年小屋からしばらく登った右手にヒカリゴケの標識の立つ穴がある。ヒカリゴケは昔、富士山麓の風穴で見た記憶がある。のぞいてみたが、よく見えなかった。



右上 がれきの斜面を登ってゆく
下 権現小屋が見える   右下:権現山頂上(2715m)から赤岳への尾根を望む





左上 三ツ頭方向に岩ピークがあり、人が大勢乗っていた。権現山までは大勢人がいたが、赤岳への道から急に人がいなくなる
右上 有名な源治バシゴ 梯子そのものより、その前後が崖近くで怖い
左下:清里、飯盛山方向  





11時頃キレット小屋に到着、水をもらおうと水場に行くと、ほんのちょろちょろとしか流れておらず、ほとんど枯れている。どうしようか迷うが、オプティパスの口をあて、休みがてらのんびり待つ。1.5l入れるのに30分かかった。沸かす必要があるか考えたが、流水だし大丈夫だろうと判断、そのまま飲んだが問題なかった。小屋の人も「水場だめでしょ。今年は雨が少なくて水場が枯れた」と言っていた。

左上 なにやら曇ってきた   右上 こんな感じの瓦礫を登る 下りてくる人が「結構ハードな道ですね」と声かけてきた
左下:キレット小屋のある鞍部を振り返る





上:どんどんガスがひどくなる   右上:清里への分岐付近 成田山不動の板碑がある
左下:赤岳頂上(2899.2) いやさか(弥栄)とある    右下:赤岳頂上小屋
この日は連休ということもあり、大勢小屋に泊まっていた。食事は3回に分かれ、寝具も二人用の布団に3人で寝る状況だったが、小屋のオーナーはじめスタッフは慣れているようで余裕があり親切。





赤岳−赤岩の頭−根石岳−東天狗−茶臼山−縞枯山  2012年9月中旬

コース記録:赤岳頂上小屋5:30−地蔵の頭6:00−行者小屋6:30−赤岳鉱泉7:00−赤岩の頭8:20−9:00オーレン小屋9:10−10:00根石山荘10:10−東天狗10:50−11:40中山峠(昼食)12:05−13:20高見石小屋13:40−丸山14:00ー麦草峠14:45−大石峠14:55−15:40茶臼山15:45−縞枯山16:15−雨池峠16:30−縞枯山荘16:35

 九州西岸を通過中の台風の影響で、南八ヶ岳山頂付近は昨夜から強風と横殴りの雨で荒れていた。状況を聞く中高年グループに、オーナーが「今日は行者小屋に下ったほうがいい」とアドバイスしている。岩場にあまり慣れていないので、地蔵の頭まで行き状況によっては核心部を避け行者小屋から硫黄岳に向かったほうがよいかも、と考える。
 5時半に出発する人はまだほとんどいなかった。展望荘を通過したときも、小止みになるのを待ってか大勢軒下にたむろっていた。人気のない道を注意深く地蔵の頭へ向かう。稜線の風は半端なく強い。



上 強風と雨の中、たたずむお地蔵さん(地蔵の頭にて)   右上 なんだかすごくガスっていた。慣れた人なら、一般道だしこの程度の岩場は雨が降ろうが強風だろうが楽々通過できるのだろうが、こちらは通常の山道歩きの体力は結構あるものの、岩場は慣れていない。行者小屋コースが無難、と石の多い斜面を注意して下る。
 シラビソだかダケカンバの森を一気に下り(左下)、行者小屋へ(右下)。樹林帯に入ると嘘のように風が静まるが、行者小屋は開けているからか結構風が吹いていた。ここでも赤岳鉱泉でも、小屋外軒下のテラスで合羽を着た人が大勢雨止み待ちだか所在なげにしていた。



 赤岩の頭への登りで、下ってくる人やグループと3回すれ違った。みな口々に「稜線はものすごい強風だから気をつけてください」と注意してくれる。赤岳頂上小屋から来たから知っている、だから核心部を巻いたと話すと、それで良かったとみな言う。最後にすれ違った若者3人連れが「赤岩の頭はすぐそこだ」と言うので核心部は巻いたが硫黄岳周辺はどうか聞いてみると、赤岩の頭硫黄岳間を指差しつつ「ここはわからないけど」、「このへんはヤバイかも、梯子とかあるし」と硫黄岳北側を指して言う(注:その後歩いたら硫黄岳北に梯子はなかった。核心部と間違えたと思う)。「僕たちもオーレン小屋から来てこっちへ下ることにしたんですよ」「じゃあ私もオーレンから根石岳へ行こうかな」道の状況がわかり助かった。




 稜線に近づき、樹林帯から周囲がハイマツに変わると急に風が強くなる。そこへ、いかにもトレランの格好をした白人男性二人が後ろから駆け上がってきた。この雨風の中、体にピッタリしたシャツ1枚に短パン、超小型トレラン専用リュックにハイドレーション。寒くないのか不思議だが「ハーイ、コンイチワ」と陽気に駆け抜けてゆく。その後硫黄岳に向かったのかオーレン小屋方向へ下りたのか知りたかったが、追いつけず不明。

左上:赤岩の頭 風にあおられよろけるような強風
右上:硫黄岳への尾根 強風下、下りてくる人がいた!

左:オーレン小屋への道  大きい木の下にチビシラビソ(チビダケカンバ?)がたくさん生えていた




 オーレン小屋を過ぎたあたりから急に晴れてきた。このときは天候が回復したのかと思ったが、後でどうもそうではないらしいとわかる。
 根石山荘に水場印があるので水をもらおうと寄ったが、ここでも少雨の影響で水場が枯れていると言われた。
左上 箕冠山から根石山荘と根石岳を望む   右上 根石岳(2603m)頂上
東天狗への尾根道(右下)と西天狗(左下)





左上 茅野方向  右上 根石山荘(鞍部右手)と箕冠山硫黄岳方向を振り返る。南八ヶ岳山頂はまだ厚く雲に覆われているのがよくわかる
 青空のもと、気持ちのよい尾根道を東天狗へ向かう。今思い返すと、この箕冠山−根石岳−東天狗−中山峠の森林限界を超えた尾根道が、嵐のあとの快晴下のせいか最も美しい光景として印象深く残っている。

左 東天狗頂上(2646m) 大勢人がいた。唐沢鉱泉や黒百合ヒュッテから登って来たという人が多い
下 これから向かう北八ヶ岳の山並み





中山峠への道は黒百合平経由と尾根道から直接と二通りある。黒百合平からの道は尾根道より下の台地上をゆく、歩きやすそうな道で、大勢登ってくるのが見える。今回は時間短縮といちおう尾根歩きなので尾根道を選択。
左上:けっこう岩の多い歩きにくい道   右上:中央に見えるのが黒百合ヒュッテ その上の丸山も縞枯れしている  (八ヶ岳2へつづく)



hidari.gif 六甲縦走2八ヶ岳2 migi.gif


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