東 京 近 郊  の 山  尾 根 歩 き
秋   山   郷  2

 秋山郷の北、高柄山のある山稜はガイドブックに紹介されているが、南側、道志村との境にある道志山塊はあまり紹介されないようだ。北の山は中央線沿線各駅から登れるのに対し、南はバスの便も悪く、交通のアクセスがよくないためかもしれない。
 しかし行ってみると、富士山の見られる絶景スポットもあるし、なだらかに下る歩きやすい山だった。

目次 秋山2:無生野−赤鞍ヶ岳−厳道峠−綱子 安寺沢−金波美峠  阿夫利山

    秋山1:無生野−奥牧野  高柄山の尾根道  立野峠から倉岳山  金山峠から一古沢
    秋山への道:田野入峠  桜井峠  金山峠  一古沢峠  大地峠  雛鶴峠  藤野−奥牧野
    秋山3:田野入峠(天神峠)−金剛山−天神峠−高倉山
    (以下写真の日付は誤り)



無生野−赤鞍ヶ岳−厳道峠−綱子  2011年4月下旬

コース記録:無生野9:30−棚ノ入山10:45−赤鞍ヶ岳11:20(昼食15分)−長尾山13:00−厳道峠14:00
      林道15:30−船久保バス停16:40

無生野行きのバスで終点までゆく
シーズンになると松姫峠行きバスは臨時バスが出るほど大勢の中高年ハイカーが並ぶのに対し、こちらはたいてい空いている(たまにグループ登山客がいる)

終点からさらに先へ少し歩き、火の見櫓のところを南へ入る

左は火の見櫓の分岐点にある祠




しばらく林道をゆく(左上)
やがて登山道になるが、登山道入り口付近にタンノイリ(棚ノ入)山(別名サンショ平)への道を記したお手製の標識があった。あちこちのブログを見ると棚ノ入山への登り道に迷った話が多く、このコースは道を間違えないことが肝心、と思っていた。標識は二つ目の堰堤で川を渡ると指示している。二つ目の堰堤先も踏み跡は続くが、ここは進まず指示どおり渡河して正解。その後も道のポイントごとに赤テープがあちこち掛けられており、大いに助かった。標識と印をつけてくれた人に感謝!(右上:渡河付近)
対岸に道はクリアに続く(左下)  右下:再び渡河する地点に掛けられたお手製の標識



あとはサンショ平までひたすら尾根道(左)
潅木の枝が伸び登山道を塞ぎ始めている箇所も多いので
藪にならぬよう、じゃまな枝を折り折り登る
こうしていると登りのきつさも紛れる



右上:棚ノ入山(サンショ平)1117m
西は雛鶴峠方向、東は二十六夜山方向(左下)、南は赤鞍ヶ岳への道(右)



右上の赤鞍ヶ岳への道は面白い。雛鶴−二十六夜山の尾根と、菜畑山−赤鞍ヶ岳−ムギチロ山の尾根をつなぐ尾根道で、ちょうどエの字型の地形になっている。西は朝日川、東は秋山川の支流がえぐり、その分水嶺なのだ。

左右の見通しがよく、秋山川支流の渓谷(右)、朝日川支流の渓谷(左下)を見渡すことができ、歩いていて気持ちがよい(強風の日は怖そうだが)。痩せ尾根の箇所もあるが危険なところはなく、こんな楽しい道、なぜもっと人が来ないのか不思議だ。休日にもかかわらず、このあとワラビタタキ付近まで誰にも会わなかった。
左下:尾根から西(都留方向)を望む  右下:赤鞍ヶ岳頂上(別名朝日山)1299m
 今回は赤鞍ヶ岳から東へ下るが、西へも尾根が続いている。菜畑山への道についてはこちら(御正体山)

このあたりは名前が複数ある山や峠が多い。地元の呼び名と山の本で昔から紹介されている名が異なる、古い呼称と現在の呼称が異なる、村によって名前が異なる、などのためらしい




左上:熊笹の尾根道  右上:登山道に小さい花がたくさん咲いていた(カタクリ?)
左下:アズマネザサか丈の高い笹の尾根道

右:ここにもテープでぐるぐる巻きにされたヒノキが・・
よく見るとテープの端を木杭でがっちり地面に固定している
風雪害による倒木防止かもしれない。たしかに風は強い(特に道志側、ビョウビョウ音がする)



秋山郷は緯度的に茨城よりも南にあり、人家のある川沿いは標高も高くない。それでも冬は畑の地面ががちがちに凍り、鍬すら入らなかった。茨城南部よりも凍結深度が深い。聞くと、秋山や道志は冬になると山中湖から寒風が吹き降ろす、それで寒いのだという。


ウバガ岩付近は岩場が多く、道志側の見晴らしが抜群によいところがあちこちにある
ここでやっと、写真を取りに来たという男性に会った   左上:道志村と富士山を望む
右上:ワラビタタキ1297m(ここを赤鞍ヶ岳とするガイド本もある) 平たく広い山上がしばらく続く

 左下:ナラだのブナだの落葉樹の森が続く
 右:長尾山1107m




左上:秋山側をのぞむ 手前が阿夫利山尾根、中央が高柄山尾根、奥が三頭山から笹尾根、陣馬高尾へと続く尾根
右上:同じく秋山側をさらに東寄りで撮ったところ 秋山カントリークラブ(手前)や神野集落(中央)が見える


左上:鳥井立1047m 秋山村のケーブルTVの施設がある  右上:丹沢側 大室山と大室指の集落
左下:厳道峠へ下りる道 厳道峠前後はかなりの急斜面
右下:峠にある厳道峠開通の碑 かつてこの峠は難所だったという(このサイト峠のむこうへに詳しい)




左上:赤鞍ヶ岳から下り口  右上:綱子峠方向への道  いすれも厳道峠にて
峠に車が数台止まっていた。写真を撮ったり山菜取りに来る人たちという

峠の東側は最高でムギチロ山(麦尻山、別名マガサ山)903m。標高も1000mを切り、木々に新芽が出ていた(左下)

下:平野峠(臼久保峠) ここで道を間違えた
手持ちの地図では月夜野峠だったが、標識は平野峠
月夜野峠は秋山側の呼び名、平野峠は道志側の呼び名らしい


黄色の標識下に綱子峠を右手に指す標識があったのだが、気づかず直進。大川原山677mに出た。

大川原山の下りで登山道に平行して窪地の走っている
箇所があった(左)
水流が自然にえぐった跡かもしれないが、掘削された
古道にも見える(御殿峠にそうしたところがあったので)




ふたたび峠に出た(右上)。標識は判読不明、ここが綱子峠だろうと勝手に思いつつ北に下る

やがて車道に出た(左)
案内板があったので見ると、なんと道志側の大河原と綱子間を結ぶ林道。秋山側へ下り秋山温泉に寄る予定だったので、これは誤算。

ここで蛭注意の掲示板発見!(左下)
丹沢に蛭がいて生息地が拡大していると聞いていたが、対岸にも進出していたとは。
秋山に来るのも時間の問題だろうか???


山道を歩く気はうせ、船久保から奥牧野発のバスに乗ることにする。蛭ショックと温泉を逃したショックで、たらたら行く。
秋山温泉はアルカリ温泉、飲泉可能。また上野原駅まで無料のバス送迎がある(注:平日と土曜のみ、日曜祝日はバス送迎ないので注意)
追記:秋山温泉のバス送迎が日曜祭日も行われるようになった(2013年11月現在)。また火曜金曜は無生野まで温泉バスが入る(午前午後一回ずつ)。2012年から無生野行バスの平日午後便がなくなったため、これは便利。温泉バスをうまく使うことで、秋山温泉に入りがてら道志山塊や秋山の山並から上野原駅まで戻ることができる(おおまかな時刻表は温泉のサイトにあり。ただしローカルバスではなくあくまで送迎バスなので、時刻はめやす、前後のずれはある)

途中、綱子峠への道があった(左下)。この峠を越えれば秋山に出るが、船久保も行ってみたかったのと、こちらを歩くモードになっていたので直進。  右下:綱子集落




左上:大きな一枚岩の崖があった   右上:船久保集落
左下:船久保から秋山郷富岡を望む  右下:船久保の畑 夕方ということもあり写真では色がいまいちだが、冬枯れと新緑常緑の混じる山が、日展で見る成田禎介氏の絵のようだ




左上:秋山などこのあたりでよく見かける、斜面に掘られた室    右上:船久保から奥牧野を望む

こうした室には、かつて養蚕をしていた頃、桑の葉をたくわえていた、と安寺沢で聞いた。今は芋入れたり野菜などの貯蔵庫になっている。危なくなって埋めたのもある。かつては嫁に行くと田圃や養蚕で寝る間もないくらい忙しかった。田野入峠(天神峠)や古福志に養蚕の碑がある。
山が広葉樹落葉樹針葉樹のパッチワーク状になっているのは、かつて桑畑だったところに植林していったからだという。
また、道路わき斜面に穿たれた穴で、中に燃やした跡のあるのはドンド焼きの跡。丸い石の道祖神が置いてある。1月14日、子供たちが石の道祖神を背中に担いで家々を回る。昔は養蚕がうまくゆくよう、今は家内安全を唱える。一軒5千円、40軒回るので20万円になる。さらに子供が生まれたり結婚した家は大目にあげる。それを子供らが自分たちで分配するという。

道志山塊の尾根は、厳道峠前後以外は基本的になだらかに下る、歩きやすい道だった。赤鞍ヶ岳からワラビタタキあたりまでは尾根が痩せているところもあり、斜面が落ち込んでいる。

ところで、この尾根を歩いているとき、ときどき雷か山鳴りのような音が聞こえた。この音は倉岳山を歩いているときも聞こえたし、秋山や丹沢でも聞こえることがある。特に午後になると聞こえてくる。人家のある川沿いに下りると聞こえないことが多いが、幡野では低周波音のような微妙な音がブオンブオン聞こえて気になった。散歩中の人に聞いたが年寄りのせいか「そんな音する?」と言う。
最初、都留にリニアがあるしその振動かな、あるいは秋山でトンネル工事やっているからその発破音かと思っていた。しかし大山付近でも聞こえたので、出会った人に聞いてみたところ、「これは富士の演習場の音だよ」と言った。山を越え丹沢秋山まで聞こえるとは砲撃音もすごいものだ。



安寺沢−金波美峠

2010年6月中旬
富岡から安寺沢を通って秋山郷神野に入る道

右:郷倉
江戸時代、備慌貯蓄のため、幕命により郷村に共同設置された穀倉。官有と民有があり、管理は村人が行っていた。この郷倉はもともと一古沢のもの。原型が変更されておらず、貴重なものとのこと(倉前の説明書きによる)




左上:安寺沢  右上:金波美峠への道
安寺沢は田畑は少ないが、昔は川にカジカが沢山いた、という。今はいない。生活廃水を流すからだろう、という。

左下:金波美峠のトンネル(610m)秋山側入り口。この左(東)、立て札のところに阿夫利山(729m)への登山道がある。

右下:神野集落を見下ろす。向かいの山並が大地峠や高柄山の尾根


金波美トンネルも一車線しかないので中ですれ違えない。2011年現在、ここでももう少し東よりで新しいトンネルを掘削中。



阿夫利山

2011年5月初め
コース記録:富岡9:00−分岐10:15(脇道探検)11:00−阿夫利山11:15−金波美峠11:45−神野12:20

 安寺沢出身の人の話では、小学校4年生までは分校だったが、5,6年は4キロ歩いて桜井の小学校へ通った、校長先生が下の道(川沿いの道)を行くので、あたしら子供は山の道をふざけながら通った、という。
 低山とはいえ、そこそこ上りでがある。しかも安寺沢から富岡まで3,4キロ、富岡経由だとかなりの距離になる。今は桜井付近に橋はないようだが、昔は橋があって山越えして桜井に出たのだろうか?


富岡入り口バス停で下車、富岡集落に入る。地元の人に阿夫利山への登山道を聞くが「あの沢に沿って上がるんだけど、さてどこだったかなあ?」

そこで尾根をめざして集落上の墓地まで上がった(右:富岡集落)

上に林道が通っており、峠に尾根への入り口があった(左下)
最初は植林された杉林が続く





右上、左:登山道のようす
途中巻き道があり、安寺沢へ下る道が分岐している
下:古峰神社 古峰神社の先は岩場が多い


この先で道から北にずれた岩下方向に赤テープが続く箇所がある。境界を示す杭の上に打たれているのだが、赤テープの示す先は崖。道は明瞭に尾根をたどるので当然尾根直進なのだが、雪が積もった場合など、このテープにつられる人もいるかもしれない、と気になった。

山林内のテープは、さまざまな目的で巻かれることが多い。境界の杭を示すケースが多いが、雪害防止の針金の上に巻かれているケースも見た。森林ボランティアをしていても、除伐対象の木、逆に残すべき木、測量時の目印、ここまで作業済の印などさまざまな理由で木にテープを巻いたり枝に印をつけていた。メジャーでない登山道は作業用の目印も多いと思うので、赤テープがあっても地図や地形と合わせて判断すべきだろう。

森林作業で使うテープは自然分解する材料を使用しており、結構値が張る。農作業用のビニールテープは安いが自然に分解しないし1,2年ですぐボロボロになる。道案内の赤テープも、森林作業用テープが使われていることが多い。

    上:安寺沢集落を見下ろす


しばらく行くと開けた感じのピークがある。ここでも右手(北)に赤テープがあった。尾根道は明瞭に直進しており、阿夫利山への道を間違えることはないが、この赤テープの先にも下りの尾根道が続いている。時間があるのでどこへ続くか行ってみた。
道は阿夫利山尾根の北側の尾根を東へ戻ってゆく。枝打ちされた枝が散らばり(左上)、最近作業に入ったようすで作業道っぽい。やがて富岡集落が見渡せるピークに出た。これ以上下ると戻りがきついのでやめたが、おそらく阿夫利山尾根の沢をはさんだ北側尾根道で、富岡まで通じていると思われた。

阿夫利山頂上(右上)。ここから30分ほどで金波美峠の秋山側の出口脇に出る。


hidari.gif 秋山への道秋山3 migi.gif


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