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栂  海  新  道  2

 北アルプス縦走で歩き残した白馬親不知間埋め合わせ歩きその2。

目次:1、2日目栂池−朝日小屋  3日目朝日小屋−白馬小屋  4日目白馬小屋−親不知

日本アルプス目次:
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       東西鎌尾根 焼岳 合戦尾根−徳本峠 雲ノ平 笠ヶ岳 西穂奥穂 北穂奥穂

   南アルプス縦走:前半(野呂川−塩見−荒川)  後半(赤石岳−聖岳−茶臼岳)
       北岳−間ノ岳−農鳥岳(1993)  早川尾根
       白峰南嶺 仙丈ヶ岳(仙塩尾根) 甲斐駒ケ岳(黒戸尾根)
   中央アルプス:木曽駒 越百−安平路 空木岳−仙涯嶺



朝日小屋−白馬小屋

2015年8月中旬
コース記録:3日目  朝日小屋5:10−朝日岳6:00−蓮華温泉との分岐6:20−長栂山7:00−7:30あやめ平−8:50黒岩山9:00−サワガニ山10:00−11:15犬ケ岳11:18−11:30栂海山荘(昼)11:40−黄蓮山12:25−12:45水場(昼)12:55−菊石山13:05−下駒ケ岳13:45−白鳥小屋15:00

 ほかのテント泊の人たちが4時頃出てゆく音を聞いたが、こちらは4時起き、小雨が降っているのでツェルト拭いたりで結局出発は5時過ぎ。
 左下:朝日小屋を振り返る。年取ったら、今度は小屋泊してみよう。   右下:朝日岳への道





 左上:朝日岳山頂 誰もいない 雨はしょぼしょぼ降っている





 上:進行方向右手(東)の景色 横たわる尾根は蓮華温泉へ下る五輪尾根
 左下:蓮華温泉への分岐 この先も道は明瞭だった。バリエーションでなくきちんと整備されている。





 右上:長栂山への登り口。すぐそこだが、急ぐので山頂はパスした。
 左上左下、右下写真のように、このあたりは池沼と灌木帯の繰り返しの地形





 上下:このあたりがアヤメ平 木道が整備され完全にハイキングコースだ。ここで単独男性に追い越された。朝日小屋以降、白鳥小屋までのルートで出会ったのは彼一人だった。降ったりやんだりの雨は、このあたりであがってきたように思う。
 右上:朝日岳方向を振り返ったところ





 左上:黒岩山山頂 急に展望が開けた。正面がこれから向かうサワガニ山方向。見晴らしがよく、いい山だ。ここから小滝へ抜けるルートがある。このあとは白鳥山の先坂田峠までエスケープルートはない。
 下:南、下りてきた尾根と朝日岳を振り返る





 黒岩山から一気に下がり再び登った後は、左上のような細かいアップダウンを繰り返しながらほぼ水平にゆく。右上に見えるのは、これから進む犬ケ岳への水平尾根。
 左下:サワガニ山 この栂海新道を開いてくれたのがサワガニ山岳会の人たちだと聞くが、その名称の元になった山だろう。右下は同じく山頂から犬ケ岳を望む





 左上:黒岩山方向を振り返る    右上:尾根右手(東側)の谷
 下:黒岩山から登り返した後犬ケ岳まで、両側がすっぱり切れ落ちた水平尾根という面白い地形の道、両脇急斜面のヤセ尾根が続きます。見晴らしよく、なんか歩いていて楽しい。晴れていれば眺望抜群の尾根歩きだと思う。





 上:左手(西側)の景色だったと思う、大きい山は初雪山1596m?。
 左下:犬ケ岳への登り。登山道が左から行くのが見える。そこそこ登るので、1個目のウィダーインゼリーを飲む。気のせいかウィダーは効くのだ。    右下:犬ケ岳山頂





 上:犬ケ岳山頂から左手(東)日本海側を見たところ
 下:山頂から北のこれから進む尾根を見たところ。右下写真の尾根の肩に栂海山荘が見える。
 勝手に樹林帯の中の山小屋を想像していたので、随分おしゃれなところに建っているなと感動。屋根の赤もいい。





 左上:栂海山荘 山荘に11時半についたので、白鳥小屋まで行くことにする。昨日は晴天で暑さに参ったが、今日は曇っているのでさほど暑さを感じずにさくさく歩くことができた。晴天だと景色はいいが、スピードは落ちる。
 山荘にはさきほど追い越して行った男性が雨に濡れた合羽類を乾かして休んでいた。ここ泊まりの予定だそうで、こちらが白鳥まで行くと聞き、1日で白鳥まで行けるんですか、と驚く。そこで朝日小屋の人から12時までに着けば行っても大丈夫と言われた話やここ泊まりだと翌日低山が30度越え歩きになる話をすると、なるほど、と言っていた。むしろ私よりもスピード的に全然問題ないと思うのだが、速さ自体には重きを置いていないようで、しばらく休んでお昼を食べてから考えると言っていた。ほかは誰もおらず、朝出発して行った大勢の人たちはこちらには来なかったようだ。白馬か蓮華温泉のほうへ行ったのだろう。
 右上:これから向かう黄蓮山への尾根 栂海山荘から一気に下ると樹林帯に入る
 左下:尾根西側     右下:黄蓮山





 左上:黄蓮の水(水場) 地図で見ると、白鳥小屋付近には水場がないようなのでここで汲んでゆこうと考えていたが、涼しかったので思ったよりも水の減りが少なかったので、水汲みには行かず。
 下草の生えたいい感じの森が続く。 右下:菊石山





 左上:尾根西側の風景   右上:これから向かう下駒ケ岳 これは結構登りでがありそう。下のようなロープ急斜面が続く





 左上:下駒ケ岳  説明板はかなり剥がれていて判読できないところもあるが、1241年からある下駒ケ岳の名が明治時代地図から消えてしまった、平成に入って国土地理院に申請し135年ぶりに山名が復活、白鳥山下駒ケ岳犬ケ岳の三山を(下?)駒ケ岳三山と呼ぶ云々とある。   下:歩いてきた尾根、菊石山黄蓮山犬ケ岳を振り返る





 右上:最後の登り、白鳥山への道 だいぶへばってきたので、ここで2個目のウィダーを飲む。左下:登り坂途中から犬ケ岳尾根を振り返る  右下:白鳥山山頂に立つ白鳥小屋



 白鳥小屋は二階建てのきれいな小屋。栂海山荘に入れるはずだった宿泊料をこちらに入れておく。15時半頃、先の男性がやってきた。やはり明日を考え1時頃出発した、予報では今晩大荒れになると言っていることもある、という。やはり相当足が速い。避難小屋一人、ということが丹沢含め結構あるので、やはり誰かいると安心だ。
 小屋から少々下駒ケ岳方向へ下りたところに、小屋の水場があった。地図ではシキ割の水まで行かないとないようで、節約して使おうと考えていたところだったので、助かった。
 雨に濡れたツェルトや合羽を外に乾かしていたが、夕方から雨が降り出した。夜7時頃から深夜まで強風大雨で大荒れ。二階に寝ていたので建物が揺れるのを感じる。台風のときはどうなるのだろう。こんな夜ツェルト泊はきつい、1日ずれるだけで大違いだ。


白馬小屋−親不知

コース記録:3日目  白馬小屋5:30−6:20シキ割の水6:30−坂田峠7:00−7:50尻高山8:00−二本松峠8:20−旧二本松峠8:40−入道山8:55−9:45親不知ホテル10:40−11:40親不知駅

 翌日朝、雨は上がっていた。下:夜明け 





 真夏なので標高低いと10時頃から暑くなる。その前に海岸まで下りてしまおうと早速出発。速足男性氏は今日は楽勝なのでゆっくり出発、海岸のビアパークに寄ると言っていた。坂田峠までは一気に700mくらい標高下がるので、焦らず足を痛めぬよう下る。
 右上:シキ割の水とその周囲のアジサイ(左下) 右下:金?助の頭とプレートの掛かる尾根





 左上:坂田峠   右上は左上写真の奥に立つプレート、説明板とお地蔵さん
 左下:旧北国街道 歩けそうだ。説明板には、旧上路村から橋立村へ通じる坂田峠道は、越中越後を結ぶ山周りの北国街道で、橋立にはかつて金山があり周辺で最初に電化されるなど賑わっていた、その後古道は埋もれたが、最近栂海新道縦走者が峠を通過するようになった云々とある。
 坂田峠から少し登った先は水平のハイキング道(右下)





 左上写真のように目の前に山が聳えるのが見え、あれを登り返すのかと一瞬がっくりするが、道は左(西)へ曲り、水平のハイキング道が続く(右上)。この尾根道で、何人かの単独登り男性とすれ違った。一人は大荷物でこれから栂海新道を縦走しますと言っていた。あとは地元ハイカーのようで軽装、一人の爺さんはラジオを大きく鳴らして歩いている。丹沢奥多摩でもよく見かけるが、大抵そんな必要ないのに、と内心思う。が、それは大間違いだったとすぐ後に思い知ることになる。
 左下:尻高山  右下:尻高山から日本海を見下ろす





 左上:二本松峠   車道の二本松峠から人工林(右上)を下ると旧二本松峠がある(左下)
説明板に風波川口から沢沿いに登りきった鞍部で坂田峠一本杉峠とともに海辺道が不通になったときのエスケープ道だったとある。



 右上:入道山。この入道山へ登る途中、熊に会った。坂を登っていると、10m?(20mあったか?)ほど先の登山道に黒い動く尻が見えた。何かを夢中で食べている。今まで出会ったことのある動物は大抵鹿かカモシカなので、一瞬カモシカかと思うが真っ黒。いや、これは大きさといいどう考えても熊でしょ、と思った瞬間、相手もくるっと振り向いた。まぎれもなくクマ。よく写真に動物が振り返ってこちらを見ているものがあるが、まるでそうした写真のよう。不思議と怖いとは思わなかった。ただ、エーなんで会っちゃったんだろ、という感じ。首の回りの毛をぼさぼささせた、まだ若そうな熊のほうも、エー、なんでこんなところで人に会っちゃったんだろ、と戸惑った表情ありあり。睨みあうというよりお互い途方に暮れた感じで見つめあい、こっちへ来たらどうしようかと考えた瞬間、熊のほうがワフッという感じで文字通り体全体を使って身を翻し、左手の藪にガサガサ消えた。
 熊に会ったら引き返すのが鉄則だとは知っていたが、ここで引き返したらまた白鳥小屋まで戻ることになる、あそこも一本道だからさらに栂海山荘から黒岩山まで戻るしかない、ちょっとそれは勘弁、と考えた(後から冷静になって考えると二本松峠や坂田峠で車道と交錯していたのだが、このときは"エスケープルートは黒岩山までない”という頭で一杯だった)。なんか熊の感じからも襲ってくるとは思えない。ただガサガサ音がすぐ止んだので、先ほどぱくついていた木の実か草の実に未練を持って草葉の陰(別にお亡くなりになったという意味ではなく文字通りの意味で)からこちらの様子を覗っている可能性は高い。登山道は熊のいたあたりで、熊が消えた方向とは逆方向に屈曲している。
 そこで、「クマちゃん、出ないでね」と声をかけつつ、左の藪は見ずに先ほどまで熊のいた坂を登り切り、右に曲がって尾根を進む。後ろは振り返らず、しばらく「クマちゃん、出ないでね」と言いながら歩き続けた。当初、入道山で朝食の残り兼早めのお昼を食べる予定だったが、もうその選択肢はなくなったので(ラーメンの予定でにおいが出るので)さっさと下りる。まあ入道山まで来ると熊がうろついている感じもないので、声かけはやめた。30分ほどで工事中の林道に出た(下)。





 林道を渡りさらに人工林内の登山道を下りると、日本海沿いを走る国道に出た(上)。
 目の前に親不知観光ホテルがあり、入浴可能と聞いていたので入れてもらう。



 左:親不知駅

 それにしても、尻高山付近ですれ違った人たちはみな(二本松峠に車で乗り付けたのでない限り)入道山から来ているはずで、それだけ人が通っているところでも熊、てうろつくものなんだ、と不思議な気がした。
 高山帯よりも里山にいる感じがする。東京奥多摩や丹沢にもいるとは聞くが、滅多に見ない(奥多摩で著名な登山家が襲われたり、あきるの市で殺処分になったりしているのでいるのは確か)。新潟や北陸のほうが多いのだろうか。
 今でもなぜ怖くなかったのか不思議な気もするが、犬を飼い続けてきたので動物の目の表情は割とよくわかる。熊のいたところを通り抜けるときも、神経質な吠え付き犬や野犬(今住宅街にはいないですが)対応と同じ気がした。無事切り抜けた後足が震えるということもなく、終始淡々としていた。それでも今回はラッキーで、今後は熊のいる方向へ進むべきでないと思うが、基本的に動物は、こちらが脅えたりネガティブな感情を持つと敏感に察知し向こうもネガティブに対応してくる感じはある。

 最後で熊ショックがあったが、栂海新道そのものは非常に歩きやすい。アヤメ平界隈や黒岩山から栂海山荘までの尾根道など、景色も非常にいい道だった。




hidari.gif 栂海新道1東西鎌尾根 migi.gif


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