北   ア   ル   プ   ス
ジャ  ン  ダ  ル  ム

 笠ヶ岳、奥穂西穂を歩いたときの記録その2。核心の西穂奥穂歩きです。
 もともと西穂奥穂は、元山岳部で若い頃は冬山遭難救助にも駆り出されていた知人と行く予定だった。ロープが必要な北アのバリエーションもかなり行っていた人で、「西穂奥穂なんて一般道だ、ハイキングコースだよ」と豪語していたのが、「なんでもないところで自転車で転んだ、バランス感覚自信ないのでもう岩場は行かない」と言い出した。”ハイキングコースだ”、て言っていたのに、と思ったが、みな寄る年波には勝てない。こうして変なところへゆく知人が減ってゆく。

 一緒にゆくはずの知り合いの敵前逃亡(?)はあったが、実は自分でも行けそうだ、とうすうす感じていた。そこでまず、笠ヶ岳で体を慣らしてから、西穂奥穂に挑戦してみることにした。

このシリーズの目次:笠ヶ岳 西穂奥穂 吊尾根

日本アルプス目次:
   北アルプス縦走:後立山 扇沢−裏銀座 槍穂大キレット 剣岳 十字峡 栂海新道
       東西鎌尾根 焼岳 合戦尾根−徳本峠 雲ノ平 笠ヶ岳 西穂奥穂 北穂奥穂

   南アルプス縦走:前半(野呂川−塩見−荒川)  後半(赤石岳−聖岳−茶臼岳)
       北岳−間ノ岳−農鳥岳(1993)  早川尾根
       白峰南嶺 仙丈ヶ岳(仙塩尾根) 甲斐駒ケ岳(黒戸尾根)
   中央アルプス:木曽駒 越百−安平路 空木岳−仙涯嶺



西穂奥穂

2016年10月中旬
コース記録:3日目  西穂山荘5:30−独標6:30−ピラミッドピーク7:15−西穂8:00−(赤岩岳?8:40)−9:25間ノ岳9:30−10:00間天のコル10:10−天狗の頭10:30−11:00天狗のコル11:15−ジャンダルム下12:50−13:00ジャンダルム13:10−ジャンダルム下13:20−馬の背14:10−14:30奥穂14:45−穂高岳山荘15:20

 朝、とりあえず晴れている。左下:夜明けの登山道   右下:独標 前回はここまで来て焼岳に下りた





 独標から 左上:東の岳沢と上高地  右上:南の焼岳方向  下:これからむかう西穂方向
 





 ピラミッドピーク(右上)から:  左下:上高地方向、右下:これまで越えてきたゴジラ尾根のような小ピーク
 こうした小ピークを飛騨側で巻く箇所は、早朝濡れたり凍ったりで滑りやすく滑落事故が多いというが、乾いておりあっさり通過できた





 左上:西穂山頂  右上:独標、焼岳方向
 なんか晴れているし風ない。これは行けそう、とそのまま先に進むことにする。
 山頂には、西穂往復という女子一人が座り、さかんにSNSを更新している。途中で一緒になったハーネスつけロープで繋いだ男女二人連れは西穂頂上に座ったまま、結局来なかった。
 左下:いよいよこれから向かう西穂奥穂間
 





左上:西穂からの下りはこのコースで一番事故が多いというので、慎重に下った。最初元気なせいか初めはテンション高いせいか、そう危ないとも感じず(感じる暇もなく?)行ってしまった
(あくまで印象です、気象条件よかったし)

右上:槍が見えます

左:笠ヶ岳が見えます

下:西穂を振り返ります






左上:岩の間を抜けるところ まあこういう感じで登ってゆく





左上:上高地が見える  下:赤岩岳?  山頂標識ないのでよくわからないが、時間的にそんな感じ





左上:また大きく下る

右上:そして登る
浮石帯だというが、そう崩れやすい感はなかった。夏、人がそこそこ歩いて安定したのかも

左と下:山頂標識がないのでよくわからないが
おそらくこのあたりが間ノ岳
目の前が天狗の頭から奥穂前穂と思う

下:西穂、焼岳から大正池方向を望む




 このあたりで最初の一人とすれ違う。山岳ガイドらしくざっと装備を見て、それでよいがフードのつばが視野を狭めていると注意される。ちょうど気になっていたので、このときはまだ脱ぐと寒いため上に折り返した。



 左上:昨日登った笠ヶ岳がきれいに見える  右上:また大きく下り
 左下:また登る 岩表面がつるつるしていてどうかと思うが、なにげに手がかりはあり、案外登れる
 まあ余計なことは考えず、ひたすらたんたんと登り下りを繰り返してゆく



 右上に逆方向を行く人が写っているが、間ノ岳と間天のコルの間で、若い単独男性二人、初老男性一人とすれ違った。初老男性に「あんたよくやるね」と言われたが、お互いさまでは。



 左上は天狗の頭から奥穂  右上:吊尾根
 左下:間天のコル  ここで一休み どんどん晴れてきた。防寒にゴアの上下を着てちょうどよい感じ。寒くも暑くもなく、最高の日和だ。フードは脱ぎネックウォーマーだけにする。ここでもう一人、単独若者男性とすれ違う。結構人が歩いている。
 右下:見た目が怖いという逆層スラブだが、逆層スラブを登ったことがないので怖く思う経験値がない(だから、へえーこれが、という程度で特に感慨なし。よく高校生のとき槍からそのまま西穂まで下ってしまった、という話があるが、たまたま天気がよく怖いと思う経験値もなくそのままたんたんと行ってしまっただけでないかと思う)





 左上:下りてきた道を、間天のコルより見上げる  右上:逆層スラブはこんな感じ
 すべてに鎖があると思っていたが、ないところもあった(それとも見落としただけだろうか?)エーまじかよと思うが、晴天のおかげで鎖なしでもそれなりに行ける(結構傾斜角度はあるので下りは難しそう。あと雨天だと厳しいかも)
 右下:天狗の頭 ここは標識があり、現在位置が明確にできた。まあよく晴れているので、単に尾根を歩いていれば道迷いの心配もなくいずれ着くのですが・・・





頭からの景色  上:笠ヶ岳  天狗の頭は2909m、笠は2897mなので、気のせいか若干下に見える
     左下:間ノ岳から西穂    右下:奥穂から前穂





 左上:吊尾根  右上:天狗のコルへの下りはこんな感じ
 一見すごいが、丸印さえ見つかれば、毎日何人か歩いているので手がかりは必ずあるはず、という目で見られる。あまり人の歩かない奥多摩あたりのバリエーションだと、まず下りルートはここで正しいか、1年前下りられてもその後崩れてないか(整備されていない)、など下りられるかどうか自体を審査するところから入るので、それに比べれば安心だ。
 ホールドないルート見つからない、と思ってもテンパらず、焦らず騒がず、じっくり探せばいい足場は見えてくる。やはり一般道だとは思う。



 左上:天狗のコル    右上:天狗のコルから岳沢側
 天狗のコルで西穂からほぼ半分。ヤマケイの西穂奥穂歩きレポートなどでは、西穂の下りが事故が多いとか、逆層スラブ、間ノ岳/天狗の頭の下りの鎖が大変そうだったので、ここまで来ればもう安心、と思った。羊羹食べたり、一休み。
 ここでさらに一人とすれ違う。今の時間天狗のコルということは、北穂高岳から?と聞くと「遅いですよね」と苦笑しつつ、奥穂からだという。でも余裕ありそうだったので、わざとゆっくり出た感じだった。この人で最後、計6人とすれ違った。西穂から奥穂方向は、追い越しも追い越されもせず誰にも会わなかった。最後の一人がコルから天狗の頭へ登ってゆくと、座って休む耳に入るのは風の音だけ。それ以外は無音の世界、とても静かな山行だ。



 左上:コルから、天狗の頭への道を振り返る  右上、左下:がれた広い尾根を大登 り
 ここからペンキマークが減り踏み跡うすくルート見分けが難しい、と聞いたが、このときは(夏の間人が歩いたせいか)左下のように踏み跡ばっちり、完全にわかりやすい道。そもそもどこ歩いても落ちる心配なく歩ける広い尾根。





 上:天狗の頭を振り返る    左下:こうした岩峰を巻き、右下:まだまだ登りはつづく





 左上:西穂 天狗の頭は埋没    右上:北側、双六岳方向に見えたゴジラ尾根
 前半は予想以上に淡々とやり過ごせたので、後半は楽勝かと思っていたら、天狗のコルからの登りが半端なくきつい。一昨日のクリヤ谷から笠ヶ岳登りの疲れもあるかもしれないが・・・、なかなか終わらない。



 上写真の岩直下は、ほとんど手がかり足がかりのない斜め岩の急斜面。ようよう登ると最後この大岩を越えるルートがわからず難儀した。結局左上写真の巨大な張り出し岩の間から、まず荷物を先に上げて押し込み、(岩の間が狭いので)空身で乗り越えたときにはマジか、と思った。これ登山道?ひどいもんだ、と。
 岩の上に立つと、右上写真にあるように上高地側から回りこむ印がついている。当初、上高地側ものぞいた。でも行けそうにないので、やめた。よく見れば歩ける手がかりがあったのかもしれないが・・・



 左上:ジャンダルムが見えてきた
 右上:有名なジャンダルム頂上、天使付き 奥穂頂上に何人も人がいるのが見える
 左下:笠ヶ岳が完全に下に見える  右下:南の西穂方向
 実はジャンダルム頂上でY字バランスをやりたい、というどうでもいい夢がありまして、幸い誰もいないのでやってみた。登山靴は重いし、筋肉は疲労でバリバリなので左足は完全には伸びなかったが、いちおう足先持って両足ともY字バランス、ついでに万歳にもなります。





 左上:まだまだこういう道が続く ジャンダルムの下りもきつかった。足場のないところに鎖なし箇所あり、高さは背丈ほどだが、ここもリュックを置いて先に下り、リュックを降ろして背負いなおす。岩の連続にうんざりしてくる。ろばの耳あたりも、登りはきついし下りは危ない。西穂間ノ岳天狗の下り以上に危ないはずはないのだが、疲れていると手がかりも見えなくなってくる。疲れると事故をおこしやすいと思うので、極力丁寧に丁寧に、雑にならぬよう、ゆっくり行くことを心がける。  右上:ジャンダルムを振り返る



 左上:このあたりがロバ耳下りの鎖で岩崖をトラバースする箇所だったと思う。ここが、馬の背等に比べあまり認識されていないが実は危険箇所、とヤマケイレポートにあったところだ。確かに逆層スラブよりも怖い。奥穂−ジャンダルム間は整備され歩く人も急に増えると聞いたが、いや、全然危ないよ、誰も歩いてないし、と思う。
 右上:ジャンダルムを振り返る  だんだん遠くなる



 左上:奥穂が目の前   右上:馬ノ背  左下:馬ノ背はこういう感じ
 ギザギザで手足をかけるところは沢山あるので、つる、とした斜め岩の登りや岩崖トラバースよりもむしろ安心。宿で「馬の背、怖くなかった?」と聞かれたが、こういうところは怖くないんです。むしろ白ザレやつるりとした斜め岩のほうが、滑りそうで怖い(六甲の馬ノ背もザレているので怖い。標高全然低いけど(笑))。人によって怖いところは違う。それがわかっていたので、馬の背はあまり心配していなかった。





 左上:馬ノ背を登ると広い尾根で安心して歩ける ここから目の前の奥穂高岳まではもう楽々道だ
 右上:上高地を見下ろす  左下:槍ヶ岳が見える  右下:奥穂高





 山頂より 左上:ミトンの手のようなジャンダルム  右上:笠ヶ岳
 左下:北穂と槍   右下:南側、一番奥に薄く富士山が見える  山頂の地図では、丹沢や両神山まで見えることになっているが、このカメラでは難しい(この富士山で最大倍率なので)





 山頂より 上:前穂から吊尾根  山頂にはまだ4,5人おり、のんびり景色を見ていたり大型カメラで写真を撮ったりしている。
 左下:北穂の尾根と小屋が見えてきた   右下:小屋までも梯子や鎖のある、まだまだ険しい道



 奥穂からゆっくりゆっくり下る老人がいた。前を行く単独女性は苛ついて追い越していったが、杖をつきゆっくりゆくような爺さんがよく奥穂往復できるなと思い、不思議な気もして後からついていった。梯子を下りた少し先で道がわからないようすで「どっちかな」ときょろきょろしているので、「右ですよ、左のが危ない」と声をかける。「(上から行くのと下と)どっちがいいかな」と言うので「どっちでも行けますよ」と言うと下から、腰を落とし滑るように下りる。初心者か子供のような下り方だと思うが、翌日驚きの吊尾根経由で会った(「吊尾根」項に詳述)。



左上:穂高岳山荘到着
天候に恵まれた山行でラッキーだった

右上:西の笠ヶ岳方向
左:東に月が出てきた

山小屋でチェックインしながら、今日西穂から来た人がほかにいたか聞くと、二人いたという。
夜、その二人が話しかけてきて3人で話す。それぞれ単独だが、5時出発12時半には奥穂に着いていたというので速い。案外早くついたので奥穂で1時間ほどのんびりして山小屋に来たという。また、すれ違った6人のうち、初老男性近くにいた二人は、岳沢小屋から天狗沢を登って西穂に行った人たちだと言っていた。

西穂奥穂間は、独標のすぐあとが悪い。ここでまず嫌になる人がいると思う。西穂も最初の下りが悪い。これらを乗り越えられると、丁寧に行けばそれなりに行かれるような気がする。(あくまで個人的な印象です)





hidari.gif 笠ヶ岳吊尾根 migi.gif


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