東 京 近 郊  の 山  尾 根 歩 き
御  正  体  山

 無生野から道志山塊を歩いたときは赤鞍ヶ岳から東へ向かったが、尾根は西へも続いている。菰釣山尾根を歩いたときには、常に右手に道志山塊、そして御正体山が連なっていた。
 そこで今回、赤鞍ヶ岳から西へ、御正体山を越えて山中湖まで尾根伝いに下りてみようと計画した。できれば秋山の峠でまだ行っていない雛鶴峠も合わせて歩きたい。

 ただ、このあたりは山小屋も避難小屋もないのでビバークになる(最近テント禁止箇所多いが、国立公園内でないし、テント泊禁止の丹沢でもないので大丈夫だと思うが・・・)。水場も見当たらないので2日分の水を用意する必要がある。水消費量の多い夏は避け、涼しくなってから行くことにした。

目次:1日目無生野−雛鶴峠−赤鞍ヶ岳−棚ノ入山−菜畑山−今倉山
   2日目道坂峠−御正体山−石割山−平尾山−大平山−山中湖

  秋山:無生野−奥牧野   道志山塊:無生野−赤鞍ヶ岳−厳道峠−綱子
  山中湖周辺:菰釣山   三国山−不老山   杓子山   三つ峠



1日目:無生野−雛鶴峠−赤鞍ヶ岳−棚ノ入山−菜畑山−今倉山

2011年10月初旬
コース記録:無生野9:25−雛鶴峠10:05−棚ノ入山11:20−12:00赤鞍ヶ岳(昼食)12:30−岩戸の峰13:00−ブドウ岩の頭13:30−14:20菜畑山14:30−水喰ノ頭15:00−今倉山16:00−(16:15)

 2011年秋より、上野原−無生野間のバスは1日2本になった(平日のみ、休日は従来どおり1日3本)。午後2時頃上野原発無生野行と3時頃無生野発上野原行が運休となり、実験的にデマンドバスが出るという。ただし住民票のある人しか利用できない。平日は山を下りた帰りに利用する便がないので要注意だ(奥牧野まで歩けば藤野行バスあり)。



 最終バス停から都留方向へ歩くと、右手に旧道への分岐がある。旧道を登ると、今は使われていない旧雛鶴トンネルに出る(左上)。このトンネルの左手に雛鶴峠への登山道入り口がある。
右上:無生野側(東)を見下ろす  左下:雛鶴峠   右下:都留市側(西) 中央に見えるのはリニアの実験線

 四国遍路を歩いたときも、山越えの際、広い国道と新トンネルの脇に旧道と旧トンネルがよく並列していた。新道は道が広く高低差も少ないがトンネルが長い。交通量も多いので旧道を歩くことも多かった。旧道は一車線程度の細い山道、くねくね登り最後に短いトンネルがある。こうした未だ山道然とした旧道のトンネルでも、完成したときにはこれで便利になったと喜んだ話をあちこちで聞く。





 この道、熊が出るようだ。熊が木の皮をむいたあと(左上)。真新しい。右上は熊の糞?
 昨年秋、大地峠への登山道でハイカーが熊に襲われた、秋山の富岡の大橋下の野球グラウンド場あたりに熊が出た、だの話を聞いていたので、熊鈴鳴らしつつ、急に鉢合わせないようゆっくり歩く。
 このほか、登山道沿いに延々イノシシが笹の根を食べた跡も続く。

 棚ノ入山あたりの様子については前回 道志山塊に載せたので省略。ただ、棚ノ入山から赤鞍ヶ岳への分水嶺尾根は、夏歩くとだいぶ印象が違った。樹木の葉が生い茂り、西の都留市側の見通しがきかない。葉が落ちた季節は左右の見通しのよい歩いて気持ちがいい鞍部だったのが、葉が茂ると暗い普通の尾根道になってしまう。

左下:道志山塊の尾根を望む  右下:赤鞍ヶ岳山頂1299m





右上:岩戸ノ峰ヒッチ1288m   左下:ブドウ岩ノ頭   右下:今まで歩いてきた尾根とピークを振り返る
赤鞍ヶ岳と菜畑山間は倒木が多く歩きにくい





左上:菜畑山1283m   右上:山頂からこれから向かう西を望む   右下:水喰ノ頭(?)





赤鞍ヶ岳までは登りだが、以降は起伏の少ない尾根道
赤鞍−菜畑間は少々荒れていたが、菜畑山以降はトレランレースのコースのため整備されており、さくさく歩ける
また赤鞍ヶ岳の西は熊の跡は見当たらなかった。

左上:西の都留市方向 菅野集落

右上:今倉山山頂1470m

左:これから歩く道坂峠への尾根道
 道坂峠へ下りる途中、登山道脇にスペース発見、森に入らず(荒らさず)済むのでここでビバーク。イノシシの跡もない。左下に道志村、右下に都留市が見える。向かいの尾根では5時頃まで作業音が響き、富士急行の夜汽車の音も聞こえる。奥秩父は完全に山中感があったが、ここは人の生活を近くに感じる。寝不足気味だったので早々に就寝、この日は結局誰にも会わなかった。


登山道に咲く花

植物に詳しくないので種類は不明








2日目:道坂峠−御正体山−石割山−平尾山−大平山−山中湖

コース記録:(6:35)−道坂峠7:00−岩下ノ丸8:00−白石平分岐8:55−9:45御正体山(昼食)10:25−前ノ岳10:55−中ノ岳11:25−山伏峠分岐12:15−13:25石割山13:40−平尾山14:05−14:35大平山14:45−飯盛山15:00−山中湖15:30

 早朝、ド、ド、ド、ドと太鼓を叩くような音で目が覚める。何の音かよくわからないが、テント近くでさかんにド、ド、ド、ドとやっている。なんだか縄張り内にテントがあるのを見つけ、気に食わない感じがありありだ。外に出ると音は止んだ。姿は見えず、結局何だったのかわからないが、以前テレビの動物番組で、鳥が羽で空気を振動させ音を立てているのを見たことがあり、それではないかと思った。戻ってから調べてみると、ヤマドリのドラミングだった可能性が一番高い。

 下山後、この日の朝は全国的に11月中旬か下旬並の冷え込みで寒かったと聞いたが、レジャーシート製テントとマット内は暖かく気づかなかった。今までシュラフインナーを寝袋代わりにしていたが、この日からダウンの寝袋を使用、そのせいかさいごは暑くて剥いで寝ていた。



昨日の曇り空とはうってかわり、早朝は天気が安定し空気も澄み見通しがよい。御正体山の向こうに見える富士山(左上)、その右に見える山々は南アルプス(右上)

下:道坂峠 このあたりも登山道脇にイノシシの掘り返した跡が延々続いていた。笹薮の中も多少掘られているが、登山道沿いは食べやすいのか圧倒的に道沿いに多い。登山道への笹の侵入を防いでいることにもなる。イノシシも標高千数百メートルまで登ってきてご苦労さんだ。





左上:これから向かうピーク  右上:ピーク脇に見える富士山   左下:岩下ノ丸

道坂峠を過ぎてまもなく、作業道との分岐がある。作業道のほうが道なりに直進しているので、右手の尾根への登り口を見落としやすい。いちおう木が一本横に渡されているのだが、単なる倒木に見え、跨いで直進してしまった。そういう人は多いようで、最初はしっかりした広い道。それがだんだん細くなり足裏もふかふか状態、檜原の森林ボランティアで歩く作業道の感触そっくりに。尾根はと見ると右手にぐんぐん上がっている。”こりゃまずい、間違えた”と引き返し分岐を発見。
道坂峠以降は登りになる。特に白井平分岐から急登。





左上:道志村    右上:北西の菅野か大野あたり

南側は樹木の切り払われた見晴らしポイントがときどきあるが、北側は葉が茂り見晴らしがきかない。目には大菩薩嶺や奥多摩の山々が遠くに見えるのだが、カメラを向けても手前の木々にピントが合って写らない。富士山も御正体山の陰になってほとんど見えない道だ。



上:丹沢を望む。左手に蛭ヶ岳、右手前が菰釣山、以前歩いた尾根が見える
下:御正体山山頂1681.6m

ここでガスストーブでゆっくり昼食。昨晩今朝と匂いで獣を引き付けぬよう煮炊きしない食事だったので、久々の暖かいご飯を楽しむ。フリーズドライのイタリアン(マカロニ)はおいしかった!





右上:下りは右手に富士山を望む道だが、樹木が茂りなかなか見えない
下:中ノ岳 奥の標識杭も何者かに齧られていた クマ?



山伏峠への分岐の直前に鉄塔がある
鉄塔周辺は刈り払われているので、
展望がよい

左:西に富士山

下:富士山の右に連なる
身延山地、南アルプス、八ヶ岳







同じく鉄塔から 左上:丹沢方向  右上:杓子山
左下:山伏峠分岐   右下:この先は萌芽更新の森が多い。かつては炭焼きをしていたのだろう
山伏峠への分岐直後にやや急な登りがあるものの、その後は高低差の少ない道でさくさく進む





左上:山中湖が見えてきた  右上:登山道の下までえぐれた土砂崩れ箇所。上に乗ると危なそうなので左端を歩く。こうしたところが何箇所かあり、右カーブの右端折り返し部分が土砂崩れで落ちた箇所もあった(急斜面を直登している踏み跡があり、それに従う)

左下:石割山頂上1413m 抜群に景色のよい山頂。晴天で地面が温められ、湯気が立っていた
右下:手前の緑の低山が、これから向かう大平山。午後は富士山がシルエットになってしまうので、午前中に来たほうがよいかもしれない





同じく石割山頂から  左上:山中湖  右上:忍野村  左下:杓子山
石割山からは基本的に下り、快調に飛ばす
右下:平尾山頂上  この前後はススキ原や潅木地帯が続き、頭上を覆う樹木がない。鹿から樹木を保護する柵も多い。





上:平尾山山上から山中湖を望む 右手の尾根がこれから向かう大平山
左下:大平山手前  右下:今歩いてきた平尾山(手前)と石割山(奥)  ここで2日目にしてはじめて人に出会った





左上:大平山頂上1295m ここも目の前に富士山が見える絶景ポイントのようだが、雲に隠れてしまった
右上:富士山北東側の裾野に広がる北富士演習場
下:山中湖畔 水位が高く歩道にも波しぶきがかかる



左:白鳥がたくさんいた。もう飛来しているのだろうか?

この日、朝7時から自衛隊の富士演習場の砲撃音が頻繁に聞こえた。時折山を揺るがすほどの大音響。12時にいったん止み、13時から再開された。

飯盛山付近で若いカップルのハイカーを追い越したが、2日間に山中で会った人は計4人。御正体山とその周辺は静かな尾根道だった。

おまけ:忍野八海




hidari.gif 秋山3山中湖周辺 migi.gif


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